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プラトニック 2
「とにかく!!オレは、大丈夫だし、お前に何とかしてもらうことなどないし、大体お前が口出す問題でもない」
オレは言い切った。
ここで言っておかないと勝手に動かれそうだからな。
オレは自分のことは自分でなんとか出来る。
助けが必要だと思ったら助けを求める。
誰かにまず助けてもらえて当たり前とは思わない。
「しかし・・・」
アイツが言い募る
オレは自分を守ってくれるスゴい彼氏が欲しくてお前が好きなわけじゃない。
「心配はありがたいけどな、オレは無力じゃないし、勝手な手助けはオレをバカにすることだ。分かるな?」
オレはキッパリ言っておく。
「なんか妙に気に入られたみたいだけど、オレやお前みたいなスポーツ選手は反社と関われないってのは向こうも分かってるし、なんなら警察に相談するよ。お前は出しゃばるな」
オレの言葉にアイツは泣きそうになった。
「・・・でも、でも・・・」
アイツはもごもご言ってるが、この話はこれで終わりだ。
アイツとヤクザを会わせて揉める時間などない。
世界が終わるのだから。
「終わりだ。早く帰れ、明日も練習あるんだろ?」
オレは出来るだけ優しく言った。
アイツは籍は大手企業の社員という身分で、練習している。
プロみたいなもんだ。
金のメダルばかり取ってて。
CMとかも出ちゃってる。
プロより遥かに稼ぐアマチュアエリートだ。
けっこうなレベルのスーパースターなのだ。
そんな男が真夜中に疾走してたりしてるだけでもめんどくさい。
世界が終わると知ってなければ、コイツと再び会ったりしなかっただろうな、と思う。
コイツの栄光に傷つける気なんか1つもなかった。
終わるからだ。
そう、終わるから会えた。
でも。
世界が終わるまでは心静かに過ごして欲しいから、オレはコイツに教えるつもりはないし、誰にも教えるつもりはない。
毎日を生きてほしい。
オレはアイツの背中を叩いた。
帰りを促すために。
アイツは口をへの字で結んだまま、オレを見つめる。
納得はいかないけれど、逆らいはしないということか.
オレは笑った。
面白い顔だから。
オレを見つめるアイツの目が揺れて、そこにオレは息を飲んでしまう。
オレの心臓の音。
それともアイツの?
聞こえないはずの音がきこえる。
アイツはオレに触れなかったが、顔を近づけてきた。
吐息がかかる程の距離に。
キスされるのかと思ったらされない。
「キスしていいですか。・・・友達のキスです」
囁かれる。
友達はキスしない。
日本ではしない。
そう思ったけど、ダメだった。
アイツの唇がそこにあるんだ。
キスだけなら。
まあ、それに扱きあうだけなら、良いんじゃない?
まだ当分試合ないし。
アイツの男らしい太い唇が欲しかった。
本音を言ったら、ケツにぶち込んでガンガン突いて欲しかった。
でも。
アイツはまだオレを知らないから、オレたちはアイツにとってはであって3日も経ってない人なので。
オレはそこまで欲望を出せない。
だって、ちゃんと好かれたい。
「まあ、キスなら」
そう言った。
明日の練習がどちらもあるから、流れでセックスになったら扱きあいくらいにはしとこうと思ながら。
アイツは目を細めて笑った。
優しい顔で。
昔の子供の笑顔とは違って、優しい大人の男の笑顔で。
胸が破れるかと思った。
そっと唇が触れて。
離れた。
離れた??
離れる????
それだけなのかよ!!!
子供のキスより清らかなそんなキスなどした事の無いオレには衝撃的なキスだった。
目を見開いているオレのおデコにもそっとキスをして、アイツはまた優しく笑った。
「帰ります。また明日電話します」
優しい声で言われてオレは真っ赤になった。
あ、帰るの。
色々考えちゃったオレがヤラシイみたいじゃないか!!
また微笑まれたら。
胸をおさえちゃうのはオレの方。
アイツが出ていくのを見送って、ズルズル座りこんでしまった。
キスだけとか。
笑っただけでもうダメとか。
こんなの。
知らなかった。
なんなのコレ?
ファーストキスが最初のセックスでしたよね、オレ。
14歳で相手は高校生のお姉さん。
そこから欲望に忠実に生きてきてしまったし。
アイツとだってセックスしてから恋になった。
こんなの、知らない。
オレは途方にくれた
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