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嫉妬と空白と無い未来 1

まあ、次の日仕事は休んだよな。 許したから。 練習も休んでしまった。 当分シャツは脱げない。 背中に噛み跡まであるからな。 試合が決まってなくて良かったよ。 夜まで抱かれて、夜にも抱かれて。 あんなにいやらしい男だとはおもわなかった。 セックスに慣れてると思ってたオレの感覚を超えてきやがった。 ギリギリを責めつづけれ、お願い許して、と泣きながらお願いするまで与えられなくされて。 与えられる時は溺れる程に、終わらなくて恐くなるまで与えられて。 際限なく、愛を囁かれる。 恥ずかしげもなく甘く。 子供だった頃の飢えのような焼け付くような必死さではないセックス。 でも。 全身で口説かれているのはわかった。 「昔の僕より今の僕のがいいでしょう?あなたを忘れるような子供じゃない。今の僕なら何があってもあなたを忘れたりしない。手放したりしない」 妙な口説き文句にわらいもした。 が、アイツは真剣だった。 記憶を無くした1年の自分を自分だとは思っていないみたいに嫉妬して、今の自分をオレに売り込んでくる。 奥をぶち抜かれてそこをねっとりと責められた。 言葉もなく痙攣し続けるオレに囁く。 「あなただってこんなに僕を欲しがってる。僕の先っぽに何度も何度も絡みついてくる。可愛い・・・僕が好きでしょう?言って・・・好きって・・・」 そう言われて何度も何度も好きだと喚いた。 好きだからもう許して、と。 でも、オレがアイツを離さないんだから無理だと笑われた。 確かにオレのはアイツのに絡みついて離したがらなかった。 オレの脳はもうばぐりそうなのに。 おかしくなる、おかしくなるから、と訴えても 「なら、気絶してもいいですよ」 とか言われるのでアイツはおかしい。 「おかしくなって・・・僕から離れられないくらいに。二度と僕から離れないで・・・・あなたが離れていた事さえ僕にはわからなかったなんて・・・」 アイツは苦しげに言ってさらにオレを追い込んでくるのだ。 でも許した。 許した。 とにかく、無理とは言ったし、もう許してとお願いさせられたりもしたけど、オレはアイツを受け入れた。 「こんなに僕が好きなのに。僕から離れたの?僕のために・・・愛してる」 囁かれる言葉は甘くて。 「僕なら出来ない。あなたが僕しか見えないなら、それでいい。あなたが僕にしたように、世界をあなたに与えられるはずがない・・・」 アイツは苦しげに、でも、だからこそ甘く囁いてくる。 「僕のために世界を与えてくれたあなたになら、僕は何でもできる」 アイツはそう言った。 でもオレは。 皮肉に思う。 でも。 そんなの意味がなかったのでは? 世界は終わってしまうんだから。 いや、でも。 「なあ、一人じゃない世界って。良かったか?」 オレは正気でいられる狭間に聞いた。 ずっと抜いては貰えず、ゆすられ続けてはいたけれど。 自分がしたことの結果位は知りたかった。 「・・・・・・良かったですよ。世界に自分だけじゃないのは。でも。あなたのことを忘れていたのは辛い」 アイツの言葉に満足した。 とにかく。 1度終わった世界では。 アイツは世界を取り戻して、生きて、それで良かったのだと。 それは嬉しかった。 戻ってきたのは。 きっと自分のためだけだ。 オレの未練が巻き戻しさせたのだ、そうおもう。 これは夢? 世界の終わりでオレが、見ている夢? だとしても、目覚めるつもりはなかった 「愛してる」 オレも何度も言った。 何度も感じて叫ばされ、声が掠れて言えなくなるまで繰り返した。 「【今】の僕を。【僕】だけを愛して・・・」 アイツの苦しい声の意味は分からなかった。 だって。 アイツはアイツだから。 今も。 昔も。

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