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第2話-1

いつものように朝が来る。 窓から入り込む日差しが自然と目を覚まさせる。 「んっ…」 軽く欠伸をしながらベッドの中で背伸び。 ウトウトしていると二度寝をしてしまいそうな感覚が心地良い。 あれから…地下牢での記憶が曖昧な袮音は、自分がどうされたのか殆ど覚えていない。 ただ、下半身の疼きと体の中から湧き上がる熱は、感覚として何となく未だに奥を燻っている。 あそこは危険な場所。自我を保てなくなる。 そう認識した上で、地下牢にはもう行くことがないだろうと言い聞かせた。 「もうこんな時間!遅刻しちゃうっ」 ベッドから起き上がり、手早く制服に着替える。 鞄を持ち、机に置きっぱなしになっていた教科書などをしまうと自室を出てバタバタ走っていると伊織と遭遇した。 「おはようございます、急ぎですか?」 「ちょっと、ゆっくりしてたら遅くなっちゃって」 「車、出します?」 「だ、大丈夫です!行ってきます!!」 朝食も食べずに慌てた姿を見た伊織は、特に変わった様子も無く、普通に過ごしている袮音を見て安心した。 ◇ ◇ ◇ キーンコーンカーンコーン♪ チャイムの音と同時に校門を通り抜け、遅刻を回避することが出来た。 余裕の無い朝はこんなにもしんどいのだと身を持って知った袮音は、息切れしながら教室へと向かう。 「袮音、おはよ。珍しく遅くない?」 「あ、陽濔くん。おはよう」 クラスメイトの支倉陽濔(はせくらよみ)が声を掛けてきた。 彼は毎日、この時間帯に登校する。 慌てた袮音の姿を見て思わず呼び止めた。 「どうしたの?いつも余裕な時間に登校してるのに」 「何か、部屋でゆっくりしてたら遅くなっちゃって…だから、朝も食べないで来た」 「マジ?!腹減るよ?」 談笑しながら、玄関、廊下、教室へと進む。 次のチャイムで1時間目が始まる合図だが、3分前に席へと着席出来た。 余裕もなく始まる授業。 通常通り、特に変わり映えもなく午前授業が終わり、お昼の時間。 学校(ここ)では、食堂の他にパンや軽食などが買える自販機、中庭にはカフェが併設されており、個室のようになっているガゼボもある。 中庭は、殆ど人が来ない静かな場所だけあって、ベンチで読書をしたり昼寝をする学生もいる。 「袮音は今日の昼、どうする?」 「うぅん、どうしようかな…食堂で食べたら中庭でゆっくりしたい」 「じゃ、行くか」 いつもと変わらない、学校生活。 けれど、校舎から見下ろす影と不穏な空気… これから厄介事が起きるなんて、袮音や陽濔は知るはずも無くーーーーー

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