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第2話-7
開かれた扉の先…
陽濔の瞳に映ったのは、非 れもない姿の袮音だった。
甘ったるい喘ぎ声と肌の当たる音、結合部分の粘着音。
涙と涎で端正な顔が台無しになって、見たことも無い姿に絶句した。
「っ…」
「ほら、袮音。お友達が、来たっ…ぞ…んっ!」
話しながらもピストンは止めない奏に、陽濔からは怒りが込み上げてくる。
しかし、フェロモンの匂いで充満したガゼボは、αにとって欲望渦巻く場所…そう思ってくるのは時間の問題。
「ぁ、あ…んぅ、ゃ♡」
止まらない2人の性行為に、伊織は陽濔を連れてココから離れようと促すが既にフェロモンに充てられていた。
勝手に体が動き、自分の意思では止めることが出来なくなる寸前。
「陽濔、くん。ダメだ…」
βの伊織でさえ、強力な袮音のフェロモンに反応してしまいそうになる。
(これほどまでに、Ωの性奴隷のフェロモンが強いとは…それにしても、相手が奏様で良かった。知らない誰かに犯されるより余程マシだろう)
今まで、発情期が来なかった事の方が奇跡に近い。
奏が袮音を探していたことと、傍に置いておきたい理由が何となく伊織は分かった気がした。
「お前がっ…フェロモン、撒き散ら…す、から…人数が、増え…たっ」
「ひっ…ぁ、あっ♡もっと、シて…」
もう何を言っても無駄。袮音は何度も達し、そして小さな性器は勃起する。
喘ぎ声すら掠れているようにも聞こえ、如何にこの状態が長く続いているか分かるようだった。
奏に必死にしがみつき、与えられた快感に身を委ねる光景は滑稽に過ぎない。
それでも一瞬、こちらを見たかと思わせる袮音の視線に全て持っていかれた陽濔。
ラットを誘発させてしまうくらい、刺激の強いフェロモンはここに居る全てを欲で埋め尽くしていくようで、怖いとさえ誰もが感じた。
(ゴメン…袮音)
心の中でそう呟くと、真っ先に奏の方へ行き、自分も交ぜて欲しいと頼んだ。
一旦、奏が動きを止め、ナカから自分の性器を出すと緩くなった袮音のアナルからは沢山出した精液が太腿を伝い足元を濡らすと、陽濔はゴクリと唾を飲む。
「ハァ…ハァ…」
荒く呼吸する袮音は、奏にもたれ掛けたままぐったりしている。
長く感じる行為だが、実際は10分程度。
その中で激しく交ざり合うのは、主人と従者の関係そのもので、性奴隷側が求めるほどエスカレートしていく。
「君が交ざりたいのは分かるが、先客が居るからまた今度…」
「…え?」
伊織に、早くガゼボから陽濔を出してα用の抑制剤を飲ませろと奏が指示を仰ぐ。
分かりましたと言ったような軽い会釈をすると、腕を引きガゼボから2人が出て行った。
扉が閉まる音と同時に、袮音がもう普通ではいられないのではないかと、陽濔は不安に駆られた。
自分では無い誰かとの行為を見るのは、今までで一番衝撃的な光景で、脳裏に焼き付いて離れない。
とりあえず、食堂近くにある自販機まで歩いていると辿り着く前に学園長とすれ違うと、何やら不敵な笑みを浮かべていたのが分かったが、いつも変な感じの人だなと思う程度の陽濔は、特に何も思わず通り過ぎた。
自販機に着くとミネラルウォーターを買い、伊織から抑制剤を貰う。
「どうですか?少しは落ち着きました?」
「伊織さん、すみません…俺、取り乱して」
バツが悪そうな顔をして頭を掻く陽濔に、伊織は仕方が無いと慰めた。
「陽濔くんがラットにならなくて良かった。あのまま3人で…なんてなったら、私は止められないですからね」
「アハハ…それより、学園長があんな所を歩いているなんて、珍しいな。何かあったのかな?」
独り言の様に陽濔がボソボソと言葉を繋いでいると、伊織はこの後に待ち構えている袮音に行われる服従の時間に目をキュっと瞑った。
「さ、私たちは戻りましょう。学生さんは午後の授業もあることですし、私もまだ仕事が残っているので」
「はい。明日…朝、袮音を迎えに行こうと思います」
「是非!」
陽濔は午後の授業のために教室へ戻り、伊織はガゼボに視線を送りつつも学校を後にした。
◇ ◇ ◇
「これはこれは。また凄い逸材を見つけたましたね、月城さん」
学園長がガゼボへと足を踏み入れる。
「んっ…早かったですね、時実さん。こちらが私の性奴隷、袮音です」
腰の動きを止め、袮音の顔を掴み学園長へと向けさせると目に映った年に数回しか見たことのない年配男性の顔があった。
「…っ!」
考えが追い付かない上に、何故と疑問ばかり浮かぶ頭の中。
血の気が引いていくのが分かった。
学校での性行為がバレたと言う思いと、どうして奏が学園長と親しい間柄なのか、考えれば考えるほど思考が絡まっていくーーー
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