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第2話-9
それに、しっかりと反応する袮音にも苛立ちを向けた。
時実を引き離し、袮音の手首を強く掴んで壁へと体を押しやる。
「本当にお前は何も分かっていないな。こんなに出来の悪い人間だとは思わなかった」
残念そうに呟いていた主人に顔を歪める奴隷は、寂しさと見捨てられた孤独感ような錯覚に陥る。
どうしたら良いのだろうと、まだ疼く自分の体を両腕で抱き締めると小さく[ごめんなさい、ごめんなさい]と謝った。
「袮音?何を言ってるのか、聞こえないなぁ。ちゃんと言ってくれないと、この場でお仕置き…だけど?」
ジャケットの内ポケットから、色付きの液体が入った小瓶を見せてやる。
これが何だか分かるか?と言ったような素振りをすると、目の前で見せられた怪しそうな液体に、袮音は息を呑む。
きっと、これは……
「ゃ、や…だっ」
「口答えなんて、どういうつもりだ?お前は私の奴隷だろ。従え」
いつになく冷たい、全く感情の籠もっていない言葉は胸の奥深くに突き刺さる、とても痛いものだった。
頬を強めに掴み上を向かせ、小瓶を片手で開けると小さな口に押し付ける。
拒絶反応で全然口を開かない従属に更に苛立ち、股の間を割って自分の足を入れると、咄嗟に声を漏らす。
その隙を狙って、液体を袮音の口から注ぐとビックリしてそのままゴクンと飲んでしまった。
ひと口…それだけで発情期の体は、気持ちとは裏腹に敏感の域を超えた。
「はぁー、はぁっ…んっ」
体中、快感の波が押し寄せてくる。
今までに感じたことのない、大きなそれは誰も止めることの出来ないほど強力なもの。
Ωのお仕置きには丁度良い、即効性の媚薬。
元々、吸血鬼用に作られた物で人間に使うと気が狂ってしまう程。
特に袮音のように発情期が中々来なかった者には、快楽地獄の時間でしかない。
「どうだ?体が言うことを聞かないだろ。お前は普通の人間より若干小柄だから、使いたくなかったんだけどなって…もう俺の声すら聞こえてはいないか」
「あ、ぁ…」
何回か射精したにも関わらず、性器は反り立ち、直ぐにイッてしまいそうなくらいだった。
そして、アナルは物欲しそうにパクパクと収縮を繰り返して受け入れて体制は完璧。
先程、時実が弄った乳首を指で軽く弾いてやると、それだけで果ててしまう。
「ぁ、あぁーっ♡」
「乳首しか触ってないのに、イくとか。しかもドライで?さっきもそうだったが、お前はメスの素質があるようだな」
性感帯の一種である耳を、軽く舌を入れて動かしてやるだけで、またしても袮音は短い喘ぎで果てる。
「や、らぁ♡イッて…イッてるっ!ぁ♡あっ♡」
「凄いな、メスイキばかりで笑える」
奏は素直に反応してくれる袮音に、少なからず喜びを感じていた。
「…私は仲間外れかな?」
一部始終を見ていた時実。
袮音の豹変ぶりにどんな手段を使っても愛玩奴隷を渡してはくれないのだろうと、奏の手の込んだ策戦に出遅れた。
ある程度、自分がココに来てからの予測はしていたものの、まさか媚薬を使うとは思っていなかったため不意打ちを食らう。
「月城さん、ダメじゃないか。奴隷には、奴隷らしく働いてもらわないと」
「貴方には関係無いことだ。何をしようと主人である私のみ、コイツの権利を持っている」
「らしくない。そんな媚薬を使って支配するなど、子供じみたことを…」
やれやれといった具合で溜め息を一つ。
この2人にはついて行けないと分かった時実は、ガゼボを出ようとする。
「大人の嫉妬は見苦しい。その子の発情期中は、学校へ来させないでください。αの餌食になるだけだ」
「……」
そんな言葉を残し、時実はガゼボから退散すると静まり返ったガゼボには、淫らに欲情する顔を赤らめた愛玩が目の前に居るのみ。
邪魔する者が居なくなった今、独占出来るのは自分だけになった途端、奏は時実に触られた部分を上書きするように快感を与えていく。
「キスをされたのだけはしくじったな」
親指でクニクニと柔らかい唇を触ってやると、無意識にその指を舐め始める袮音。
チュッチュと、まるでフェラをしているような仕草で舌を使い、時に甘噛みをして煽ってくる。
「ん、んっ…ハァ…」
親指だけでは物足りないのか、奏の手を両手で掴み他の指も口に含み、いやらしく舐めるとそれだけで媚薬を飲んだ体は嬉しさで、ビクビクと震わせながらまた射精無くして果てる。
暫くしてチュパっと言う音と共に、口から指が離れ唾液混じりの濡れた指を自分の下半身へ。
早く中に入れて欲しいのか、腰を動かし誘う姿はとても滑稽で、末裔では無く歴 とした性奴隷なのだと確信した。
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