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第23話
結局、スレイグの目的は何だったのか。勇者と何かを話していたのであれば勇者にヒントを落としているのではないかと、魔王はすぐに腕の中の勇者を見る。
「勇者、あいつと何を、」
話していた、と。言おうとして、魔王の言葉が不自然に途切れた。
腕の中の勇者が眉を下げて頬を染め、弱った様子で小刻みに震えていたからだ。
「……ど、どう、どうした、勇者」
ぴったりと引っついているために、間近でその様子が見える。薄らに開く唇は、長くキスをしていたためか赤く湿っていた。
「ま、魔王、その……う、動かないでくれないか」
「……は?」
そういえばスレイグに気を取られていたが、先ほどから勇者をぐいぐいと抱き寄せては刺激を――と、魔王の視線がさらに下がる。
シャツの前を全開にした勇者の体は、明け透けにすべてが見えていた。下も穿いていないために、すっかり勃ち上がっているそこが魔王の腿に当たっているのまで明らかである。
ごくりと魔王の喉が鳴る。蜜液の溢れる先端から、目が離せなかった。
「……あ、あまり見ないでくれ。というか、少し外してくれないか。その、僕はこれをどうにかしたい。……とりあえず、離れてくれると嬉しいんだが」
勇者が距離を取るべく、腕に軽く力を込める。しかし魔王は微動だにせず、むしろ勇者を近くの木に押し付けて、閉じ込めるように両手で囲った。
「……魔王……?」
勇者は不安そうだった。瞳の中で、困惑が揺れている。けれど魔王は気にもせず、じっくりと勃起しているそこを見下ろす。
「仕方がない。この俺様が直々に抜いてやろう」
「……え、え? いや、まっ、」
「遠慮するな」
「遠慮とかじゃ、」
魔王の大きな手が、勇者の中心に触れた。
びくりと、勇者の体が跳ねる。信じられない、とでも言いたげに、勇者は自身の中心を掴む魔王の手元を見下ろしていた。
間も無く、緩やかに手が動き始める。優しく上下に擦り、亀頭を剝いて、敏感な先っぽを親指で緩くこねる。そこはだんだんと芯を持って、先ほどよりも溢れる蜜液がいやらしい音を立てていた。
「あ、ま、魔王……あ、っ、ん」
もちろん、自慰くらいは勇者だってしたことはある。けれどこんなに気持ち良いものではなくて、その時には義務感しか感じられなかった。
あられもない声を出したこともない。途端に勇者は恥ずかしくなって、自身の手でぎゅうと口元を押さえつけた。
「ん、ぅ……ふ」
思ったより、魔王の手つきが優しかった。勇者を気遣うように、勇者の快楽を追いかけるように、存外丁寧に触れる。
あの、いつも勇者を迷惑そうに相手にしている魔王が、あろうことか真剣に勇者の表情を見つめて、勇者の中心をしごくとは――考えてもみなかったこの状況に、勇者はもう目眩でもしてしまいそうだ。
(……気持ち、いい……)
ぼんやりとした思考の中、勇者は必死に声を堪えながら、安直にそんなことを思う。
どうして拒否できないのだろうか。どうしてもっとしてくれと、そんなことさえ思えてくるのだろうか。何もかも分からないけれど、この行為が普段の何十倍も気持ちがいいのは確かである。
ふと、勇者の目が魔王の下腹に留まった。そこは明らかに膨らんでいて、苦しそうに主張している。
「あ、ん、魔王、」
甘い声が魔王を呼ぶ。それに魔王は手を動かしながら、どうした、と、熱っぽい音を返す。
「……これ」
勇者の手が、おもむろに魔王のそれに触れた。
「っ、おい」
「勃ってる、じゃないか」
「……俺様は、別に」
「一緒にすればいいだろ」
「……は、おい、待て」
勇者はのそのそと魔王の前を寛げると、膨らんでいるそれを取り出す。勇者よりも太くたくましいそれは、解放されてすぐ、期待するようにひくりと揺れた。
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