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<3>騎乗位編
「智樹さん」
「んー?」
下の名前で呼ぶ許可をもらってから一ヶ月が経った。俺は当然ながら長い間「主任」と呼んでいたので、最初は「気持ち悪い」「寒気がする」だのなんだの言われてたけど、もうすっかり慣れたみたいだった。
そんな智樹さんは今、ミントのガムをくちゃくちゃさせながらバイクの雑誌を読んでいる。
「ねえ……」
背中からそっと抱きついた。雑誌ががさっと音を立てる。
「したいです……」
……
………
あれ?
何のリアクションもない。
「智樹さん?」
「いや……なんて言って断ろうか考えてる」
俺は涙目になった。
「もー! どうしてそう言うこと言うんですか! 明日休みだし、いいじゃないですかっ」
冷めてる智樹さんを無理やりベッドに引っ張り上げて、上半身を剥いだ。
「っおい……!」
俺自身もシャツを脱ぐ。かばっと覆い被さって、おでことおでこをくっつけた。
「ね……? いいでしょ……? いっぱい気持ちよくしてあげますから……」
ぞくっと触れた身体から震えが伝わってきたのを、俺は見逃さなかった。初めてしたとき、念入りに慣らしたのもあるかもしれないけど……智樹さんもちゃんとイけてたから、もともとお尻で感じる才能があったんじゃないかと思っている。
「……いやだ」
「おねがい」
そう言って粘ると、俺がエロいことに関しては絶対引かないと知っている可愛い恋人は、ふいっと目を逸らしながら「……痛くすんなよ」と呟いた。
キスしながら智樹さんのものを扱く。いい加減慣れたのか、素面じゃキスできないとは言わなくなった。
「ふ……、んむ……ん…」
先走りで濡れた指を、入り口にぬるぬると塗り込む。そうすると、「早く」って言ってるみたいに穴がひくひくと収縮しだす。
「はあ……あ、ぅ……っ」
縁をなぞってから、襞をかきわけて一気に奥まで挿入する。そのままゆるゆる抜き差しした。
「んっ……ふ、ぅっ……」
まだ一本だけなのに、一生懸命ぎゅうぎゅう締め付けてきて可愛い。そのまま二本、三本と続けて入れた。
「このままがいい? バックからがいい?」
「後ろっ……から……」
即答してきた。智樹さんは顔を見られるのが嫌みたいで、いつも後ろからしろって言ってくる。ちょっと悲しい。でも今日はやってもらいたいことがあるから、今は言う通りにしてあげることにした。
「いれるよ……」
穴をくぱっと広げて、亀頭をめり込ませた。
「は、あ……っ!」
「すげー柔らかくなってる……」
ずぷっと一番太いところが入ると、あとはするすると呑み込まれていく。
「あっ! んあぁっ……―――っ……!」
「あー……イイ……吸いついてくる……」
後ろからだと形のいい肩甲骨が呼吸に合わせて動くのがよく見えて、すごく綺麗だ。汗で肌がきらきらしてる。そこから少し目線を下げると、真っ赤な穴がめいっぱいひろがって、俺のを根本までずっぷり呑み込んでる。その生々しいギャップに、目の前がクラクラした。
「動きますよ……」
「………」
よく見てないとわからないけど、かすかにこくっと頷いた……気がする……。してるときはあんまり反応くれないから、小さなことがすごく嬉しい。
「はあっ! ぁ、あ! あん……っ」
ぎゅっと血が出そうなほどシーツを強く握ってる手を解いて、上から俺の指を絡ませた。そのままがつがつと貫く。
「あ、あ゛っ! く、ぅ、んっ……!」
突いた衝撃でだろうけど、俺が動くのと同時にぎゅっと手を強く握られた。自分が愛されてるみたいで、好きだよって全身で伝えられてるみたいで……たまらなく嬉しくなる。
「っ、くそっ……孕ませてー……」
「っ……!? ぁ、あっ!」
「でも、もし子供できたら……」
ちゅ、と右肩にキスをする。
「俺より子供のこと好きになるんだろうな……自分の子供に嫉妬しちゃうよ……」
「や……」
隙間もないくらいくっついてるから、ぞくっと震えたのが伝わってくる。
「……ごめんね。引いた?」
「あ゛……う、」
「でもそーなったら、もう俺から逃げらんないでしょ……っ、智樹さん」
うなじを軽く噛んで吸いながら、ごりごりと中を擦った。本人は認めないだろうけど、言葉で虐められるのもイイみたいだ。さっきより中が締まってる。
「ひぁっ……あ、あ、ぁ……っ!」
「はあ、もういく、出すよ……」
勢いよく挿入して、一番奥で射精した。
「やめ……あ!」
逃げようとする身体を押さえつけて、最後まで全部出し切る。
「は…、ぁ……」
ずるっと引き抜いてから、智樹さんの身体を起こして、キスしながら形のいいものに触れる。ちゃんと勃ってて、震えてひくひくしてて可愛かった。
「んぅ……っ」
こんなにカッコよくて形もいいのに、俺と付き合ってるから、もうこれを女の子相手に使うことはないんだと思うと興奮した。「次、一緒にイこ」と耳元で囁いて、愛しい人の腕を引っ張りながら仰向けに寝転ぶ。初めてした日から、智樹さんから上に乗っかってくれる痴態を想像しまくってた。その夢を叶えるためだ!
「俺、このまま寝てますから。自分で俺の、いれてください」
「っ……」
ひくっと目の前のこめかみが痙攣した。俺が突然こんなことを言い出すのには作戦があって、素面のときに「してください」って言っても、絶対に首を縦に振ってくれないからだ。
智樹さんは口には出さないけど、お尻の気持ちよさを知っている。気持ちよくてぽーっとしてるところにお願いしたほうが効くと思ったのだ。
どうすれば智樹さんともっとエロいことができるか、ひたすら毎日狡いことを考えて実行している俺。それに……この人は優しいから、きっと最後には「いいよ」って言ってくれることも知っている。
「俺、終わるまで動く気ないですからね。ずっとここで寝てますよ」
言っている間もどうすれば円満に跨ってくれるか、ずっと頭をフル回転させている。これで出ていかれたらどうしよう。寝そべって勃起してる情けない姿のまま置いて行かれる俺……。シュールだ……。
賭けだったけど、智樹さんは「もう……」と言いながら焦れったいくらいゆっくり時間をかけて、俺の上に跨ってきてくれた。
「智樹さん……!」
「……何でもう、勃って……」
「あーいや、あはは……あ、後ろ向いちゃだめですよ。顔見ながらしたいんだから……」
智樹さんはふっと目を伏せて、俺のお腹に手をついて膝立ちで腰を上げた。体重がかかって痛い……。わかっててわざとやってるのかも……。もう片方の手で俺のちんこを持って固定して、くちゅっと穴にあてがった。綺麗な指に触られただけでイきそうになる。
「いいよ……腰、落として」
「くっ……んあ、ぁっ……!」
体重がかかってずぶずぶと呑み込まれてく。この体位だと、中に入ってく様子が全部ばっちり見える。
「まだ……ちゃんと全部、いれて」
「うぐぅっ……は、はあっ……」
すとんとお尻が俺の太ももにくっついた。中が身体と同じようにビクビク震えてる。
「いつもより深く入ってる?」
「腹っ……が、ぁっ……くるし……」
「苦しい? 気持ちよくはない?」
「わかっ、わかんなっ……が……あ……っ」
さっき出した精液もまだ残ってるし、ありえないとこまで入って苦しいのかもしれない。イイトコ突いてあげれば気持ちよくなれるかも……。
「抜いて」
そう言うと、ぶるぶる震えてる脚に力をいれて、自分の力だけでずるると俺のを引き抜いた。AVは容赦なくモザイクがかかってるけど、現実で好きな人とセックスしてるときは全部無修正だ。エロい……。出ていく感覚が好きなのか、気持ちよさそうな顔してる……。
「あ、ストップ」
完全に抜ける寸前に動きを止めさせた。びくっと痙攣して、俺の言った通りそのまま動かなくなる。
「そのまま。動かないで……」
「っ……」
「繋がってるとこ、よく見えるよ……」
指先で結合部をすりすり触ると、抗議の声が降ってきた。
「やめろっ! 触るな……っ」
「なんで? 気持ちよくなっちゃうから?」
「うるさい……っ」
「ふふ、ごめんね。いいよ、好きに動いて」
手を離して腰を落とすよう促す。動かないと終わらないと悟ったのか、ぎこちなく腰を上下に振りはじめた。
「俺がいくまで頑張ってくださいね?」
きっ、と睨みつけられるけど、とろーんとした目で凄まれても誘われてるようにしか見えない。智樹さんの中でちんこがでかくなっただけで、全く逆効果だった。
「はぁっ、んっ、んく……っ」
ずぷ、ずぷ……と焦れったいくらいゆっくり抜き差しするうちに、今までと違う反応をするところがあった。
「ひ……っあっ!?」
一瞬動きが止まって、ぐぐっと締め付けが強くなる。
「イイトコ当たってる?」
細い腰を掴んで、その場所をぐりぐりしてやった。
「ぃぎっ……! おっ、押すなっ……ぁ……」
「だって、気持ちいいんでしょ? ……ココ、どろどろになってるよ」
先端を爪でぐりぐりと刺激してやる。
「や……ぁ、やああ……っ」
「ほら、俺、もうちょっとでイけそうですよ……っ」
そう言うと何かが振り切れたのか、早く終わりたいのか、俺をいかせるために大きく動き始めた。っていってもやっぱり恥ずかしいのか、ささやかなものだったけど……。
「はあっ、くそっ……ん、っん、ぅん……っ」
やっぱ智樹さんって、綺麗な身体してる……。肌にシミ一つないし、割れた腹筋と盛り上がった胸が芸術品みたいだ。ちんこもふるふるして可愛いし、これで中の締まりもイイなんて最高すぎる……。こうやって上に乗って自分から腰を振るなんて、ちょっと前までは想像もしてなかったんだろうなと思うとゾクゾクした。
「……一緒にイこっか?」
「ひっぃっ!」
イイトコを刺激されて出したそうにしてるものを弄る。先っぽの小さい穴に爪を立てると、苦しそうにビクビク脈打ちはじめた。
「あ、ぁ、ひあっ、や……あ――……!」
ぐぐっと前のめりになって、俺のお腹に精液が降りかかる。その瞬間、強烈な締め付けで俺も中に放った。出されてるのがイイのか、中で出してる間、智樹さんの体も一緒にびくびくして震えてた。
「はあっ……」
全て出し切るのと同時に、力尽きたのか、前にどっと倒れてきた。ぐちゃっと腹に溜まった精液が二人の間で糸を引く。
「もっとくっついていいよ」
俺は嬉しくて、倒れ込んできた智樹さんをぎゅっと抱き締めた。そのまま手をお尻に持っていって肉を鷲掴みにして、ぐちゅぐちゅとゆさぶる。
「なっ……! あ!?」
まだすると思ってなかったのか、驚いて顔をあげた。ずくっと突くと、その衝撃で身体がくの字に反った。ぽこっと浮いた喉仏が俺の上にくる。
「ひぁ……っ、は、あぁっ」
肩を引き寄せて首筋にキスした。いつも控えめにつけてる香水が、ここでは一番強く香る。今いれてるのに、今してるのに、それでもまだムラムラしてくる……。
「いやだっ……いやだっ!」
中で出した精液が隙間から溢れて、ぐぽぐぽと下品な音をたてる。
「音、やだ?」
「嫌っ、やだ……あ、あ゛ああっ」
いやいや言う智樹さんが可愛い。お腹に手を当ててみると、ご飯を食べたあとみたいにビミョーに膨らんでいた。
「ぽっこりしてるね……」
「ふぁ……っ」
俺の精液だけでこんなんなってると思うと興奮する。数回揺さぶって、ぐちゅぐちゅになってる体内に出した。
「は……!? ぁ、んっ……」
「ん、っ……は……」
ぜーはーしてる智樹さんの身体を抱き締める。息が整うまで、お互い無言だった。
「はあ……智樹さん、大丈夫……?」
「ぁ……、は……ぁ……」
「ありがとう……気持ちよかった……」
そのまま上体を起こして、対面座位の形になる。中に入ってる位置が変わったのか、「んっ」と耳元で鼻に抜けた声がする。名残惜しいけど中に入ってるモノを引き抜こうとしたら、「抜くなっ」と強く怒鳴られた。
「え?」
「抜く……な……」
「嬉しいけど……どうして?」
「今、抜いたら……っ」
よくわからなくてしばらく見つめていたけど、ぴーんときた。智樹さんが上になってる今、抜いたら、漏れる。俺が出したやつが重力に逆らってどばどば出てくる。笑っちゃうと悪いなと思ったけど、顔がニヤけるのを止められなかった。
「でも、抜かないとしょうがないですよ? このままトイレに行きましょうか?」
「っ……」
「お風呂行ってもいいですけど……繋がったまま?」
ぎゅ、と拳を強く握ったのが目の端に見えた。
「出して」
目があくびをしたときみたいに潤みだす。
「全部見せて」
焦らすようにゆっくりと引き抜く。
「あ……ぁ……嫌だって、言っ……」
亀頭が顔を出すのと同時に、中に溜まったドロドロの液体が外に押し出されて……。
「ひっ……あっ、あ―――……っ!」
ごぽごぽと精液が流れ落ちる。それを智樹さんの肩越しに見つめた。
「っ、すげー可愛い……写真撮りたいな……」
穴をぐっと拡げると、どろっと音を立ててゼリーみたいな白い塊が落ちてきた。智樹さんはもう限界だったみたいで、俺の肩口にもたれかかってぐったりしてる。
「智樹さん……」
ぎゅっと抱き締めて言った。
「ありがと」
全部、見せてくれて。俺、変態でごめんね……。
心の中で謝りながら、額に、瞼に、唇に、そっとキスをした。
おわり
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あらすじ画面もご参照ください。
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