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<12>1ヶ月ぶり編

サンプル、二箇所から抜粋です ***** 「え……? 一ヶ月……?」 「……うん」 「え……えええええ!」 今日も定時きっかりに仕事が終わって、いつものように智樹さんとご飯を食べに来ていた。お馴染みの会社の近くの居酒屋。狭いし結構古いんだけど人気があって、俺たちと同じように仕事帰りのサラリーマンで賑わっていた。 ちょこちょこ飲んで食べて、俺が〆の麺をすすっていると、智樹さんがぽつりと言った。 「トモ」 「ん? なんへふか?」 「俺、一ヶ月、出張行くことになったから」 ぶっと噴き出しそうになるのを必死に堪えた。 「え……」 「出張」 直後に俺の大絶叫が響き渡ったが、周りの騒音にまぎれて、誰もこっちを気にした人はいなかった。 「一ヶ月……? 一ヶ月も会えないの……?」 「大袈裟だな」 智樹さんはそう言うけど、俺にとっては死活問題だ。今まで毎日……会ってたのに。 「本社に人手が足りなくなったみたいでさ。俺も向こうの環境見てみたいし……俺に来て欲しいって言ってるし。いい機会だと思ってさ」 「……いつ?」 「来週の土曜。北海道」 北海道と聞いて、頭をがつんと殴られたような衝撃を受けた。 俺だって本社と電話することは何回もあったけど、まさか智樹さんがそっちに行くなんて考えたこともなかった。 「お土産、何がいい? メロン送ってやろうか? 白い恋人か?」 「……いらないから、行って欲しくない……」 飄々としてるところにむっときて、わざと冷たい言い方をした。爆弾宣言をした本人は、そう言われるのがわかってたみたいふっと笑うと、小さく息をついた。 「……出るか」 なんか、俺って女の子みたいだな。行って欲しくない、とか……駄々こねたりして……。けど、寂しいもんは寂しい。自分の意思じゃ、どうにもできない。制御できないんだ……。 そんなことを考えながら、家……智樹さんちについた。 ここに帰ってくるのがいつの間にか当たり前みたいになった。自分ちよりずっと落ち着くんだから、もうどうしようもない。 「トモ」 玄関にぼーっと突っ立っていたら名前を呼ばれた。顔を上げる前に、智樹さんは俺の手を取ってギザギザしたものを握らせた。 「好きに使っていい」 「えっ……」 「自分ちだと思っていいから」 鍵だった。キーホルダーもなんにもついてない、味気なくって冷たい……この部屋の鍵。 「……くれるの?」 「やる」 ……じわじわと視界がぼやけて、地面が歪んでいった。 「智樹さん……っ!」 「わっ……」 頭で考えるより早く身体が動いていた。ぎゅうっと抱きしめる。嬉しいのと寂しいのと不安がごちゃ混ぜになって、自分でもわけがわからなかった。 「事故とかに遭わないで」 「おい……」 「無事に帰ってきて」 「……何、泣いてんだよ……」 瞬きしただけでぼたっと涙が落ちる。だらしなく鼻水をずるずるさせながら、抱きしめたまま泣いた。智樹さんの肩がどんどん俺の涙で湿っていくけど、何も言わないで、ただ黙って……俺が落ち着くまで、ぎこちなく背中をさすってくれていた。 「ふっ……ぁ、んっ……」 出発の日の朝。昨晩、最後だから……って散々やったくせに、名残惜しくって寂しくて、なかなか手放せないでいた……。 「ふぁ、ぁ、っんぅ……」 今、スーツをきっちり着こんでスーツケースを持った智樹さんを、玄関に押し付けているところだった。 「んっ……! も、しつこいっ!! 間に合わないだろ! 飛行機っ!」 怒鳴られても耳に入らない。空港が何か大変なことになって、今日の飛行機が全部飛ばなくなればいいのに。キスしながらそんなことを冷静に考えていた。 「いい加減にっ……! っ!? んっ……!」 顎を持ち上げて言葉を飲み込ませる。舌を追いかけて、吸って、ぐちゃぐちゃにかき混ぜる。セックスの最中にするようなキスだ。 「ぅんっ……ふぁ、はぁっ」 足の脛をげしげし蹴られる……。靴を履いてないからたいしたことないけど、爪が当たるとちょっと痛い……。 「……はぁ、ん……」 舌を吸ってからそっと解放してやる。ぽーっとして焦点が定まっていない目……。綺麗で色っぽくて、めちゃくちゃエロかった。そんなエロい顔のまま、ほんとに出かけるの? 俺が影になってるせいで表情が見えづらい分、余計にいやらしかった。 「鍵……」 「………」 「鍵、返せ……」 じっと見つめられる。声は低かったけど、目は全然怒ってなくて、本気じゃないのがわかった。 「それは、やだ……」 壁に押さえつけていた手を離すと、フッと息をついて、上目遣いに俺を見た。 「あのなあ……一生会えないってわけじゃないんだぞ?」 「うん……わかってる……わかってます……、けど……」 寂しい……。 「すぐだろ。一ヶ月なんか」 「うん……」 俺、ちゃんと笑って見送ろうと思ってたのに……寂しくって目の前の顔がまともに見れない。自分がこんなに女々しいなんて知らなかった。 「ほら!」 「い゛っ!? いででっ!」 落ち込んでたら、両方の頬をぎゅーっと引っ張られた。 「笑えって!」 「うぅぅ……いひゃい……」 俺の変顔が可笑しかったみたいで、智樹さんは声を出して笑った。その笑顔を見てたら俺もおかしくなってきて、一緒に笑った。 「じゃあな! 行ってきます」 「智樹さっ……送る!」 「いいよ! じゃーな!」 廊下を曲がって、見えなくなる寸前にまた手を振ってくれた。 「っ……行ってらっしゃい!」 智樹さんのおかげで、俺はちゃんといつも通り……笑って、見送れたと思う。 **** 「俺がいなくて、寂しかった?」 「……別に」 即答。期待してなかったから、いいけどさ……。でも、こういう時くらい素直に言ってくれてもいいのに…… 「ってか……すげー元気だったよ。毎日身体が軽くってさ」 「え、えぇ? なんで?」 「…お前とやってなかったから」 ……頭を思いっきり殴られたような衝撃を受けた。 「……俺、そんなに無茶させてる?」 「っ……させてんだよっ! 毎日毎日っ!」 やっと会えたと思ったのに、いきなり怒られる……。 「一回で終わりゃいいもんをだらだらと……」 「ごめんなさい……」 「口だけだな」 ベッドに押し倒してるはずなのに、久しぶりに会ったはずなのに、全く色気がない。 「智樹さんがいけないんだよ……智樹さんといると俺、おかしくなっちゃうし……」 「アホなこと抜かすな」 ぎゅーっとほっぺをつねられた。本気じゃないから全然痛くない。その手をとって、ベッドに縫い付けた。 「会いたかった」 「………」 「キスしてもいい……?」 「……お前なあ……この流れで…」 お許しが出るまで待てなかった。ちゅ、と口付けて舌を潜り込ませる。真下にある眉毛がピクッと跳ね上がった。 粘膜に触れた途端、それに毎日触れてた日々を思い出して……頭がカッと燃えるように熱くなって、何も考えられなくなった。 「んむっ……! ん……っ」 上顎を擦って、舌を絡め捕る。 「ゃ゛……ふ、うっ……」 おいしい。おいしい。ずっとこうやって触りたかった。可愛い声が聞きたかった。 舌を吸ったり軽く食んだりするたびに、押さえつけてる身体がピクピク跳ねる。 「んぅ……ん、こく……、っ、ごく、……」 わざと唾液を送り込むと、喉を鳴らして飲み込んでくれた。たまんない……。嬉しい。 「ぷはっ……! はぁ、はあっ……、んっ……!?」 苦しくなって身を引いても、すぐに追いかけてまた塞ぐ。 「ん、~~~っ……!」 気持ちいい……。智樹さんの口の中、すげえ気持ちいい……。これ以上ないくらい幸せだって思うのに……まだ足りない。いくら舌を絡ませても、吸っても……足りない。 「んむっ、ん、ふぁ……っ」 「はあっ……智樹さん……」 解放すると、唾液の糸がつーっと繋がってめちゃくちゃエロかった。 「俺がいない間、一人でしたり、した……?」 「………」  答えないので、じっと待った。 「……してない」 「ほんとに……?」 「あのなあ……俺はそんなに強くねえんだよ……年がら年中盛ってるお前が変なの!」  だからそれは、智樹さんのせいなんだってば……。智樹さんが俺のこと、おかしくさせる……言うとまた怒られるから、口には出さないけど……。 「俺はしてたよ……毎日。このベッドの上でさ……」 「っ……」 「枕とかさ……すげーいい匂いして……たまんなくって……」 「っ……そういうこと、言わなくていいんだよ!」  顔を真っ赤にして怒鳴るのがかわいい。 「恥ずかしい?」 「うるさいっ!」  手は俺が押さえてるから、いつもみたいに殴れなくて不満そうだ。こういうやり取りするのも久しぶりで、幸せだな……。おでこにおでこをくっつけて、至近距離で目を合わせた。 「舌出して」  唇が触れそうな距離。ふいっと嫌そうに目を逸らしたけど、口を小さくあけて……おずおずと赤いそれを出してくれた。 「ん……っ」  俺はそれに餓えた魚みたいに飛びついた。ぐちぐちと音を立てて口の中を犯す。 「んにゅっ……ぅぶ……っん……っ!」  俺の舌も智樹さんの舌も熱くって、ここから一つになって溶けそうだ。 「ふうっ…ふ、んっ……っ!? んっ……!?」  キスしながら身体をもっと密着させて、ギンギンに張ってる股間を下半身に押し付けた。智樹さんのもちゃんと反応してて、心の中でほくそ笑む。 「ぁっ……! ん――っ……! んっ」  ゴリゴリと擦り付ける。布越しでもびくびく脈打つのがわかって、めちゃくちゃ興奮した。 「ぁ゛ぅ、っ……! っ……!!」  舌を強く吸いながら腰を動かすと、小さく痙攣してきた。もうすぐいきそうだな……。かわいい……。 「ぁ゛…、ん゛うっ……! んっ…! ―――……っっ!!」  脚がぴーんと伸びてひくひくと震えたあと、だんだん力が抜けていった。キスから解放して、おでこに口付ける。 「ぁ……あ……」  ベルトを外して下着ごとずり下ろす。わざとゆっくりゆっくり脱がせると、ねちゃ……と精液が糸を引いて、めちゃくちゃエロかった。興奮する……。 「濃……ほんとにしてなかったんだね…」 「……だ、から……そう…言った、だろ……」 *** 続きはKindle Unlimitedにて配信中です!全話エロです。 https://amzn.to/39OgcSJ あらすじ画面もご参照ください。l

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