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第40話(R18)

司が以前と同じように、軽く唇をついばんでくる。 何度も何度も濡れた音を立てるキスに、純一は少し戸惑った。 (……俺も何かした方が良いのか?) このままでは、マグロになってしまう。両手はどうしたら良いか全く分からないので、純一も司の唇を少し吸ってみた。 「ん……」 司から、声とも吐息ともつかない声が上がる。純一はその声にドキリとした。 (何だよそのエロい声……) 純一のキスをきっかけに、司は純一の手に指を絡めた。もう片方の手は、先程と同じように脇腹を通って、胸を撫でられる。 腰の辺りから、背骨を通って何かが這い上がったようにゾクゾクした。純一は鼻に抜けた声を上げると、司はキスを頬、首筋へと移していく。 「ん、んん……」 下半身には、少しずつ熱が溜まっていくのが分かる。司も同じなのだろうか、と彼を見ると、彼もまた、同じタイミングで純一を見ていた。 「……なに?」 少し息が上がっていたので、舌っ足らずな発音になってしまった。しかし司はきちんと聞き取ったらしく、何でもない、と愛撫を再開する。 「……シャツ、脱がせても良いか?」 「……っ、恥ずかしいよ……」 「今更だろ」 司はそう言って純一のシャツを捲り上げる。そりゃあ、プールも行ってるし今更だけどさ、と純一はシャツを脱がされるのを手伝った。 その時に純一は、司の下半身が目に入ってしまう。パンツの上からでも分かるほど、そこは盛り上がっていて、純一は見なかった事にする。 司は自分のシャツも脱ぐとベッドの下に投げ捨て、再び純一の上に重なる。 「……っ」 司の股間が純一の腰に当たる。以前同じように触れた時のように、そこはもう、しっかりと形を成していた。 「どうした?」 「……っ、いや、何でもないっ」 純一は恥ずかしくて顔ごと視線を逸らす。 「…………コレのことか?」 司は下半身を、純一の股間に擦り付けるように動かした。 「あ……っ」 ビクン、と思わず純一の身体が震える。この後の行為を連想させる動きに、身体が更に熱くなった。 司はゆっくりその動きをしながら、首筋に噛み付いてくる。司の熱い吐息と痛みに、純一は声を上げた。 「い……っ、んん……っ」 しかし司はその一回だけで満足したようだ、動きを止めると、またキスをしながら胸の突起を指先で擦ってくる。 「んっ、……あぁっ」 両方の乳首を擦られ、純一はたまらず腰を動かす。痛いほど膨張した純一の分身は、胸を触られただけで達してしまいそうだ。 キスの合間に司の名前を呼ぶと、彼は動きを止めた。純一は乱れた呼吸の合間に話す。 「……ホントにお前、初めてなの? 俺、もうイキたいんだけど……」 「……そうか」 司はそう言うと、質問には答えず純一の手を引いて起き上がらせる。細くてもしっかり筋肉がついている彼は、純一が憧れる部分だ。 「純一、俺のも触ってくれるか?」 「え?」 純一はドキリとする。それもそうだ、一方的に触られているだけじゃ、司は満足できないだろう。 純一が照れて返答に困っていると、司はあっさり「嫌なら無理しなくていい」と引いた。 「いや、大丈夫……多分」 純一が膝立ちになると、司も同じ体勢で近付く。頬にキスをされ、脱がせてもいいか、と確認された。純一は恥ずかしさで頷く事しかできなかったけれど、司には伝わったようだ。 司はそっと純一のパンツに手をかけ、純一の様子を伺いながら、下着まで全て脱がす。さすがに恥ずかしくて両手で股間を隠すけれど、純一が少しでも嫌がる素振りを見せたら、司は止めるつもりだったようだ。 愛されてるなぁ、と思う。 「純一」 「……っ」 司がパンツを脱がずに待っている。脱がせろ、という事らしい。 (そりゃあそうですよね、触り合いっこしようって言ってんだから) 純一は司のパンツに手をかけて、そっと下ろした。 (う、やっぱり……) プールで水着になったりもしたけれど、そんなに意識しなかったからか、改めて見てみてその大きさに純一は戸惑った。 下生えから覗く司のそれは、明らかに平均以上に長い。見るのも見られるのも恥ずかしいので、目を泳がせていると、パンツを脱ぎ捨てた司が額にキスをした。 「触って良いか?」 司の手がそっと、純一の手を退ける。司がいちいち確認するのは、純一が嫌がっていないか聞くためのようだ。返事をせずに純一も司のモノを握った。 (うわ……触っちゃった……) 自分のとは違う熱くて硬い感触に、純一は戸惑いながらも手を動かす。 司の手も動いた。丁度いい力加減で握られ、ゆるゆると擦り上げられると、敏感に刺激を感じ取った身体はゾクゾクと脳に快感を伝える。 「ふぁ……っ、あ……」 思わず背中を反らすと、手が止まってしまう。それじゃいけない、と純一は意識を戻し、手を動かした。 「ああ、純一……可愛い」 司は吐息混じりの声で言う。額、頬、唇とキスをされ、その熱を帯びた声にも反応してしまう。 「あ……っ、つかさ……っ」 純一を擦り上げる手が、少しずつ早くなっていく。純一はそれに反応するのに手一杯で、司を触るどころじゃなくなってしまった。 司がもう片方の手で純一の身体を引き寄せた。彼の胸に身体を預ける形になった純一は、押し寄せる波に耐えるのに必死だ。 「ばっか司……っ、それじゃ、触れないだろ……っ」 触り合いっこにならない、と喘ぐ合間に純一は言う。けれど、ビクビクと震える身体は、既に思い通りに動かなくて、哲朗の言葉を思い出す。 (他人に触られるの気持ちいいって、ホントだった!) 「純一……好きだ、本当に」 「……っ!」 司が頭にキスをしながら言う。 「……っあ! 司、イク…………イク……っ!」 次の瞬間、純一は覚えのある感覚に襲われた。強烈な快感が下半身から湧き上がり、腰が何度も跳ね、視界と思考が真っ白になる。 「…………っあ! ……ふ」 はぁはぁと荒い息をしていると、次第に視界が戻ってくる。しかし思考はまだ鈍く、ペタンとその場に座り込んだ。 司はそんな純一を軽く押し倒し、足を持ち上げ後ろを探る。 「……ん? ……何、してんの?」 とろんとした顔で純一が聞くと、後ろに指を入れられ一気に現実に戻された。 「え、つかさ? う……っ」 司の指が遠慮なしに入ってくる。あまりの違和感に身体が逃げようとするけれど、司が抑えていて逃げられない。 「純一、悪い……もう限界だ…………入れたい」 司の息は完全に上がっていて、興奮状態にあるのは明らかだった。 「い、入れるって…………無理無理無理、そんなの入らない……」 純一は司のいきり立ったモノを見る。しかし、司は純一の言葉を聞かず、後ろの指を動かした。 「うう……っ、つかさ、嫌だ、止めろよっ。指抜けって」 「……っ、純一、お願いだ……悪いようにはしない」 押し問答をしているその間も、後ろの指は動かされ、出たり入ったりしている。 こんな風に、司がお願いだなんて言うのは初めてだな、と頭の片隅で思う。 (その気持ちは分かるけど……) 純一は司を見る。今まで余裕そうに見えてた彼も、今は息を乱して苦しそうだ。 そんな事を思っていたら、後ろにある変化があり、純一は身体を震わせた。 「……っ、なに?」 すると司は体勢を少し変え、同じように指を動かした。 「ん……っ、え、やだ、なにこれ……っ」 純一は戸惑う。後ろで司がある所に触れると、身体が勝手に震えるのだ。 ゾクゾクする感覚に耐えていると、司は純一の乳首に吸い付いてきた。 「うぁ……っ」 腰が跳ねる。強い快感に純一が手を彷徨わせていると、司が指を絡めて握ってきた。 「んっ、ちょっと! 嫌だと言ったら止めるんじゃなかったのかよ!」 「……」 司は顔を上げた。純一が見たことの無い、雄の顔がそこにはあった。自分に欲情し、手に入れたいとその顔は語っている。 純一は不覚にも、その顔にゾクリとしてしまう。 (司のこんな顔……初めて見る。すごくエロい……) 「う……」 見とれていたら後ろの圧迫感が増した。しかし快感も増して、純一は再び硬くなった下半身を見て驚く。 そうしたら、背中のゾクゾクが止まらなくなった。 「あ、いや……つかさ、何か俺……っ」 その様子を見た司は、再び純一の乳首に吸い付く。 「……っ!」 「……気持ちいいのか?」 見れば分かるのに、司は敢えて聞いてきた。その掠れた声にも、純一はゾクゾクしてしまう。 「聞く、なよ……見れば分かる、だろ……っ」 「純一の声で聞きたい……」 そう言って司は純一の唇に軽くキスをした。 苦しくなった純一は、コクコクと頷くと、司が望んだ通りの言葉を言う。 「いい……良いから……早くしろよ……っ」 「ああ……」 ずるり、と指が抜かれた。危うくその刺激で達してしまいそうだった純一は、息を詰める。 「ばかっ、急に抜くな……っ」 「悪い……」 司は謝りながら、純一の後ろに熱く滾ったモノをあてがってくる。コイツ絶対悪いと思ってないだろ、と純一はこれから起こる刺激に身構えた。 「純一、力抜け」 「や、だって……そんなの入れられるなんて、誰でも身構えるだろ……っ」 「お前が苦しくなるだけだ。……息を吐け」 「……うー……っ」 純一はどうしたら良いのか分からなくなって、涙腺が崩壊した。でも、このままでは司は満足しないだろうし、できることなら彼の望みを叶えてあげたい。 純一はそろそろと息を吐き出す。 「んぅ……っ!」 司が狭い粘膜を押し退け入ってくる。あまりの圧迫感に、純一は声も出せずに喘いだ。 「……っ、ひっ、……っく」 純一の目からボロボロと涙が溢れてくる。 「純一……痛いのか?」 司が動きを止めて様子をみているようだけど、純一はそれどころじゃなく、返事をする事もままならない。 「……っ、うー……つかさぁ」 苦しい、と純一は泣きながら訴えた。司を受け入れたい気持ちはあるのに、上手くいかないもどかしさと、圧迫感で涙は止まらなかった。 「止めるか?」 純一が泣いたことで、少し冷静さを取り戻したらしい。司はそんな事を言ってくる。 「……っ、それじゃあ司が……」 純一がフルフルと首を振ると、司は純一の額にキスをして、身体を離した。 「……大丈夫だ」 「でもっ」 純一は離れていく司の腕を掴んだ。 「純一、お前はまだ心が追いついていないだけだ。俺はちゃんと待つから、無理はするな」 「じ、じゃあせめて、司もいこう?」 純一はそう言って、司の前に座る。一度触ってしまえば抵抗はほとんど無くなっていて、純一は司のモノを握った。 「……っ」 司が息を詰める。 「こ、こうか?」 純一は手を上下に動かし、司を擦り上げた。つたないけれど、ちゃんと感じてくれるだろうか? 「それなら純一、もっとこっちに来い」 司に呼ばれ、素直に純一は近付いた。さっきと同じように膝立ちになると、司は純一と自分の中心を、まとめて握らせてきた。 司はその純一の手を上から、包むように握る。 純一は、こうやって一緒に握ると、大きさは歴然としてるな、と恥ずかしくなった。 不意に、顎を上げられる。司が純一にキスをすると、手も動き出す。 「ん……」 司のリードで動かされる手は、次第に先走りで滑りやすくなる。二人とも、無言で見つめ合ったり、軽くキスをしながら高めあっていった。 純一は一度達した余裕があるのか、そうでもなかったけど、司は時折目を閉じて眉間に皺を寄せて、荒くなっていく呼吸をコントロールしようとしていた。 「純一……」 司の頭が純一の肩にのしかかる。顔が見えないのは残念だと思ったけど、彼の熱い吐息が首筋にかかって、純一も煽られた。 「イク……、う……っ」 「いっ……た……!」 司がイクのと同時に、首筋にキスをされ、さらに噛まれる。純一はその痛みが少し嬉しく感じ、何で喜んでるんだ、と瞬時に冷静になる。 「ちょっと、痛いんだけどっ」 「…………悪い」 「んっ」 司はそう言って、今しがた噛んだ場所を舐める。ねっとりとした感触に、純一は肩を震わせた。 二人は離れると、司はふーっと長く息を吐いて呼吸を整えた。純一は手についた精液をティッシュで拭くと、ごめん、と謝った。 「何故謝る?」 司も手を拭く。最後までできなかった事に、申し訳なさを感じたと純一が言うと、そんな事か、と返ってきた。 「初めてにしては、いい所までいけたと思う」 「う……お前、ホントに経験無いのか? 本だけの知識でここまでやれるとは思わないんだけど」 二人は脱ぎ捨てた服を拾って着る。司は少し考えた後、純一に素質があっただけだ、と言い、ベッドから降りる。純一は何だよ素質って、と顔を赤くした。 「またチャンスはある。ゆっくりやればいい」 そう言って、司は純一の唇を一度だけ吸い上げる。ちゅ、と音がして、離れた司の顔は優しい表情をしていた。 「もう帰る……ありがとうな」 ポンポン、と純一の頭を撫で、司は家を出ていった。

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