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9.壮大さだけは一人前

 ──まず、俺についてだが。俺は魔術師によって作られた、人工生命体だ。  から始まった宮代の話はなんつーか、これ引かねぇ奴居んの? ってくらいの、とんでもない話だった。  ざっくりまとめると「気付いたら持病が進行してて、今は誰かの助けがないとしんどい」みたいな話に、思いっ切りファンタジー設定をぶち込んだ感じだった。 かなり昔、ある魔法使いの一族のが『戦争がなくなるまで、被害に遭っている人達を助けてあげよう』と思って作ったのが、宮代だそうだ。  宮代の体の素と動力になるのは『助けてくれる〈誰か〉を求める人間の気持ち』。あと『宮代に対する期待』と『それが報われた時の人間の気持ち』も力になるらしい。これは意味が分かんないから放って置いた。  宮代を作った魔法使い達は今、その末裔すら生き残っていない。魔法を使えない普通の人間達の間で起きた、大きな戦争が原因だった。魔法使い達はそいつらの仲介役を買って出ようとして、好きなように利用されて搾取された。  僅かに生き残った魔法使い達は、一族が絶える前に、せめて同胞の願いは叶えたいと思ったそうだ。何か出来ないかと考えて考えて──。 『人間の形をした、人間の心が分かる、全人類の味方を作ろう』と思い付いた。  それが、宮代だっていう事らしい。  ここまででも頭痛いってのに、宮代はもう一個、滅茶苦茶にあり得ない話を突っ込んで来た。  なんでも、魔法使いの内の一人がどうしても人間を許せなくて、宮代はその復讐の道具にされかけてるんだそうだ。  『全人類が仲良く平和に暮らせる世界に。そうなるまで、困ってる人を助けてあげよう』  なんてお花畑な理想を叶える為に、宮代には長い年月をかけて莫大な魔力が溜め込まれている。復讐を企んだ奴の狙いは、その全人類向けに蓄えた魔力を暴走させる事だった。  仲間に気付かれないように、こっそりと。  世界中から集めた誰かの「助けて」が、自分の復讐心で汚染されるように。  汚染された力が宮代を内側から壊していって、最後は辺り一面に被害を撒き散らすように。  そういう仕掛けを施した。  上手い事隠されたこの計画は、宮代本人すら長い事わからなかったらしい。  気付いた頃には手遅れで、暴走を抑える為に、かなりの力を使う状態だった。今は、自分一人で抑える事も難しくなって来ている。  魔力を制御する補助をしてくれる道具か、悪意を浄化してくれる神聖な場所に頼ればなんとか。一番は、自分と『相性が良い人間』に魔力の制御を手伝ってもらう事。……らしい。  いやもう、そういう話が好きな奴等と神聖な所? とかいうのに籠っとけよ一生。  「魔法が殆ど使えない時期でも、人間社会に貢献出来る術を身に付けておきたい」「人間への理解を深めたい」って気持ちで、時々人に混じって生活してみてるとか、いらねぇよそういう言い訳。

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