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一人じゃ見られない景色 6

* 車は順調に都内を抜けて、キャンプ場のある神奈川県へと入っていった。 やはり都内とは違い、だんだんと緑が増えてきて、建物も低くなっていく。 突き抜ける青空が、更に広く大きく見え始める。 都内からさほど離れた場所にあるわけではないので、お昼前には到着してくれそうだ。 日帰りできる距離で探して見つけたのが、相模湖の湖畔(こはん)にあるキャンプ場だった。 かなり大きな施設で、遊園地やら川やらプールやらあるし、宿泊施設も整っている。 駐車場に車を止めて、貴重品だけ持って車を下りる。 悠貴さんの隣を歩きながら、受け付けのある建物へと向かった。 レストランや宿泊施設も整っている施設だが、今回はキャンプを楽しみたかったので、ちゃんとした建物の宿泊ではなく、テントで寝ることにした。 夏だし、悠貴さんと一緒だし、たまにはこんなのもいいんじゃないかな。 BBQも予約してあるから、コンロや食材も施設が用意してくれるので、とても楽だ。 あまり悠貴さんを疲れさせたくはなかったので、なるべくスタッフのかたにやってもらえるように、プランを練った。 忙しかったし、眠かったけど、旅行のことで調べ物したり、色々考えたりするのは、楽しい。旅行は行った時よりも、行く前の方が楽しいって言う人がいるけど、それかな。 でもボクはやっぱりこうして出かけるほうが楽しいし、好き。 一応プランは練ってきたけど、この後どうしようとか、あれがしたいとかってなるほうが、楽しい。 遊園地もあるから行ってみようかな・・・でも悠貴さん嫌がるかも・・・子供っぽいよね・・・。 そんな風に何をして遊ぼうか、わくわくしながら考えている間に、悠貴さんは受付で早々に手続きを終えてくれていた。 結局ボクは何もせずにただ立っていただけ。 「ほら、行くぞ」 受付の端のほうでぼうっと突っ立っていたボクの頭を、悠貴さんが大きな手でそっと撫ぜる。 いつも二人っきりの時にしか、そんなことしてくれないから、ボクはびっくりして悠貴さんを見上げた。 悠貴さんは、しまったという感じで眉根を寄せると、少しだけ照れたように顔を背けて、出入り口へと向かう。 受付の人に変な風に思われいないか少し心配だったけど、すぐにそんなことどうでも良くなった。 どうせ二度と会うことのない人たちだもん。そんなことよりも、傍(そば)にいてくれる悠貴さんの方が大切。 ボクは照れて耳まで赤い悠貴さんが可愛くて、大好きで、大きな背中を小走りで追いかけた。 悠貴さんに追いついたボクは、悠貴さんの隣を歩く。 本当は手をつなぎたいけど、それは我慢。

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