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夢のような日々⑥
スタスタ先を行くみっくん先輩に追いつこうと小走りでついて行っているうちにあっという間に社会科準備室に到着してしまった。
「ゆいちゃ〜ん、コレどこに置いておけばいいのぉ?」
くるりと僕の方を振り返ってコテリと首を傾げたみっくん先輩に僕もついコテリと首を傾げてしまう。そういえば社会科準備室に置いておいてとしか聞いてなかった。たっちゃん先生適当なんだからぁ。
「社会科準備室に置いておいてとしか言われていないので、多分その辺の机の上に置いておけば良いと思います?」
「あはははっ!ゆいちゃんって意外と大雑把ちゃんなのかなぁ〜?りょーかぁい!」
じゃあココでいっかぁ〜ってみっくん先輩が持ってくれていた資料を近くの机に置いたので、その隣に持っていた地図を置くためにみっくん先輩の隣に並んだ。
「みっくん先輩、手伝ってくださってありがとうございました!1人で大丈夫って言っちゃいましたけど、正直いっぺんに持ってきたの後悔してたんです。助かりました」
みっくん先輩を見上げてお礼を言いながらも、あれは大変だったって眉毛がへにゃりと下がる。
「い〜のい〜の!俺、ゆいちゃんに興味あったしぃ」
ニンマリと笑ったみっくん先輩にキョトンとしてしまう。
僕に興味?何故に?
よっぽど間抜け面していたのかもしれない。みっくん先輩があはははってお腹を抱えて笑い出してしまった。
えぇ?って困惑したまま見つめていると、しばらくそのまま笑っていたみっくん先輩はまだ少し肩を震わせながら突然僕の頬っぺたを片手でブニッと摘んだ。
「んぅ!?」
親指と人差し指で何度もぷにぷにと唇をアヒルさんみたいにされ続けて目を白黒させていると、ブニッと摘んだまま固定されてしまった。
「あぁ〜、本当新鮮だなぁ〜!頬っぺた餅みたいで美味しそうだしぃ〜、食べちゃダメかなぁ〜?」
みっくん先輩お腹空いてるのかな?確かにもう放課後だしなぁ。僕のお肉はお餅じゃないから不味いと思うけど。
思わず摘まれたままコテリと首を傾げてニマニマしてるみっくん先輩をジッと見つめる。
あ、そういえば僕今日ポケットに飴ちゃん持ってる!しょうがないからみっくん先輩にあげよう。僕の頬っぺた噛みちぎられたら困るし。
頬っぺたを固定されているから話せないしってそのままポケットをゴソゴソ。
そんな僕を不思議そうに見るみっくん先輩をそのままにポケットから飴ちゃんを探り当てて手探りで包装を破って飴ちゃんを摘み出す。
そのままみっくん先輩の口元に押し当てるとキョトンとしたまま口を開けてくれたのでそのままポイッと放り入れた。
・・・・・・とりあえずずっと頬っぺたを摘んでる手を離してくれたりはしないかなぁ。
コロコロと口の中で飴ちゃんを転がすみっくん先輩をジッと見ながらそんな事を思っていると、少ししてからみっくん先輩がコテリと首を傾げて手を離してくれた。
「美味しいけど・・・どぉして飴くれたのぉ?」
「え?お腹が空いてたんじゃ無いんですか?」
思わずみっくん先輩と同じ方向にコテリと首を傾げてそう言うと、虚をつかれたような顔をしたみっくん先輩はまた肩を震わせ始めた。
「ぶ・・・っ、くくっ!あっははは!ゆいちゃ・・・、天然ちゃんなのぉ・・・っ!?おっもしろぉい!」
「・・・僕天然じゃ無いですけども」
なんだか馬鹿にされてる気がする・・・!
せっかく飴ちゃんあげたのになんでそんなに笑うんだよぉって思わず唇を尖らせてしまった。
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