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夢のような日々⑦
ヒーヒー言いながらしばらく笑っていたみっくん先輩はようやく落ち着いたのかふぅ〜って息を吐いて僕に視線を向けた。
「ねぇねぇゆいちゃん、レンじゃなくて俺にしとかなぁい?」
にっこり笑ってそんな事を言い出したみっくん先輩。
さっきからみっくん先輩が言いたい事が全く分からないんだけどどうしよう。何を蓮先輩じゃなくてみっくん先輩にするの?正直にどういう意味か分からないって言っても良いかな?
にっこにこのまま僕を見つめるみっくん先輩に困ってしまう。
「・・・えーと、何をみっくん先輩にするんですか?」
考えても分かんないもんは分かんないやって思って正直に質問をしたのにそれには答えず少し目を細めて探るように僕を見るみっくん先輩。
いや本当になんなんでしょう。っていうか質問には答えてくれないの?ってどんどん眉が下がっていっているだろう僕を無言でじっと見つめ続けられてなんだか居心地が悪いというか何というか。
・・・答えてくれないならもう教室帰っていいかなあ?
そう思ってチラリと扉の方に視線をズラした瞬間、突然視界が真っ暗になった。
「へぁ!?」
びっくりして変な声を出してしまった僕にクスリと笑う気配がする。
どうやら僕、みっくん先輩の手に目隠しされてるみたい。
「みっくん先輩?」
思わず目元にある手に触れて呼び掛けると頭のてっぺんに何かが触れた気がした。でも一瞬だったから気のせいだったのかなぁ?
「う〜ん、本気で欲しくなっちゃうなんて予定外だなぁ。こんなに綺麗で無垢だなんて思ってなかったしぃ。レンに怒られちゃうよねぇ〜?ナイショにしとかないとなぁ」
僕の目を隠したまま何かをブツブツ呟いてるみっくん先輩。
何て言ってるんだろうって思わずコテリと首を傾げてしまう。
それに気付いたのか突然パッと手を離してくれた。
一体なんだったんだろ?ってみっくん先輩を見上げるとさっきまでの探るような目じゃなくて、なんだか優しい目をしてて。
あれ?って思ってたらみっくん先輩がふわって優しい顔で笑った。
「ゆいちゃんってさっきくれた飴玉みたいだねぇ」
さっきまでとなんか違う?って思ったけど・・・またよく分からない事言ってる。
僕がまたえぇ?って困惑してるとみっくん先輩はふふって笑って僕の頭をポンポンってして廊下へと足を向けた。
「え?あ、待ってください僕も出ますっ!」
なんだか良く分からないままとりあえず僕も教室に戻らないとって先を歩くみっくん先輩を追いかける。
「・・・・・・心が擦れてないまん丸で綺麗に透き通ってる甘い甘い飴玉みたいな子なんて初めて見たなぁ。独り占めなんてレンはズルい」
みっくん先輩って本当に掴みどころが無いというか不思議な人だなぁ、なんて思ってた僕は少し先でみっくん先輩がそんな事を呟いているなんて気付かなかった。
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