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初めての外出デート⑧

 あっちもこっちも目移りしてしまう僕に呆れる事なく、僕が目を引かれるお店にいち早く気付いて全部それとなく誘導して付き合ってくれた蓮先輩。  僕はほとんど買い物はしなかったけど、アクセサリー屋さんで蓮先輩にお願いされて蓮先輩のピアスを選んだんだ。  僕が決めちゃっていいのかな?って思ったんだけど、蓮先輩が「結翔が選んでくれたやつがいい」って言ってくれて。  浮かれた僕は一生懸命選んだんだ。  でも蓮先輩に似合うものって、選ぶの凄く大変だった。だって蓮先輩、なんでも似合っちゃうし。うーん、うーん、ってめちゃくちゃ悩んじゃってる僕を何故か上機嫌に見ている蓮先輩の耳元に何個も何個も翳して確かめて決めた。  パワーストーンを使ったピアスがたくさん置いてあるコーナーにあった真っ黒の小さい石が付いたシンプルなピアス。  蓮先輩のピアス、シルバーと黒で統一されてたから一緒につけても違和感が無いかなって。  それにこの石はオニキスっていう石らしくて、石言葉が『成功・忍耐・判断力・自己防衛・魔除け』なんだって。悪いものから身を守ってくれるっていうのと、持ち主に目的達成のパワーを与えてくれるとも言われているって商品と一緒に置いてあった説明カードに書いてあった。  このピアスが蓮先輩を守ってくれたらいいなって。あと蓮先輩は来年3年生だし、望む通りの進路にいけますようにっていうのもある。  蓮先輩はそんな事を辿々しく説明した僕の頭を優しく撫でてくれて、ありがとうって嬉しそうに笑ってくれたんだ。  「結翔の瞳の色と一緒だから、ってのをちょっと期待したんだけどなぁ・・・でも俺の事を思ってくれてってのは嬉しいな、うん、気分良い。いつか結翔の耳にも俺の色のピアス付けよう。あ、でも結翔ピアス開けんの怖いかな?そんな痛くねぇけど・・・俺みたいに適当にブッ刺すのはダメだよな。病院か?あー・・・でも結翔の耳に触られたくはねぇな。どうすっか・・・」  蓮先輩は僕が選んだピアスをレジに持っていく間、何やらブツブツ呟いていたけど僕はレジ近くにあったペアリングに目を奪われていたから全然気付かなかった。  ペアリング・・・、ベタだけどちょっと憧れるなぁ。    そんな感じで楽しく蓮先輩とお買い物をしたり、お腹が空いてお昼代わりにお惣菜クレープを食べたりコロッケを食べたりわらび餅が入ってる飲み物を飲んでみたり・・・買い食いたくさんしてたらいつの間にか日が傾いていた。楽しい時間って本当にあっという間だよね。  あれ?なんかほとんど食べてた気がする。全部美味しかったけど。  「あー・・・、そろそろ帰るか。あっという間に時間過ぎちゃったな」  「そう、ですね。すっごく楽しくて一瞬で時間が過ぎちゃいました」  蓮先輩がそう言って僕のお家の方向へ足を向ける。なんだか寂しいな、帰りたくないな、なんて思いながらも僕も帰らないといけないのは分かってるからコクリと頷いて隣を歩く。  寂しくって顔がしょぼんってなっちゃうのは許してほしい。だって今日は1日中蓮先輩を独り占めできて、たくさん一緒に過ごせて・・・幸せだったんだもん。  「結翔、次はどこに行きたい?」  しょぼんってしちゃったからか、いつもより殊更優しい声で蓮先輩に問いかけられた。  次・・・次があるんだ。嬉しい。  単純な僕はそれだけで一気にパァッて破顔してしまう。  「次も一緒にお出かけしてくれるんですか?嬉しいですっ!どこが良いかな・・・?蓮先輩は行きたい所ありますか?」  そんな僕を見て目を細めた蓮先輩は、今日ずっと繋いでくれていた手をギュッと少し強く握る。  「俺は結翔の行きたい所に行ってみたいかな?今日は俺の好きな事ばっかりしたからさ。結翔が楽しいって思う事、知りたい」  ・・・はわぁ。なんだか蓮先輩の彼氏感?甘々感?が凄いんですがぁ!こんなの勘違いしちゃいそう。モテる人って凄いなぁ。多分僕、今顔が真っ赤っかだと思う。  「ぼ、ぼく、は・・・蓮先輩と一緒なら、どこでも楽しい、です・・・」  思わず吃りながら必死で言葉を捻り出した僕を一瞬目をまん丸にして見た蓮先輩に急に手を引っ張られて、大通りから少し離れた細い人通りの無い道に連れ込まれた。  え?え?って困惑してる僕をそのままぎゅうって抱きしめた蓮先輩。どうしたんだろう?大丈夫かな?  「蓮先輩?どうしたんですか?大丈夫ですか?」  心配になっちゃってさっきまでの赤面はどっかに行っちゃった。蓮先輩の背中に手を回してぎゅってし返しながらそう言うと、少し体を離した蓮先輩に見下ろされる。  「・・・結翔があんまり可愛い事言うから。我慢してたけどもう限界」  ぎゅって眉を顰めてそう言った蓮先輩に、え?って聞き返そうとしたけど。  落ちてきた優しいキスに僕の言葉は飲み込まれちゃった。  こんな所でちゅー!?だとか、なんでいきなりこうなったの!?とか最初はぐるぐるたくさん考えたけど、何度も落とされ続けるその優しいキスにうっとりとしはじめ蓮先輩の事しか考えられなくなってきてしまった頃、唇を少しだけ離した蓮先輩は吐息の掛かるような至近距離で、火傷しちゃいそうな程熱い視線を僕に向けて呟いた。  「ねぇ結翔、俺だけのになってよ」

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