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凄く甘くて少しだけほろ苦い⑨

 「おはよう匠!」  「おはよう、ゆい。田原先輩もおはようございます」  「ん、はよ」  何故か机に突っ伏している静とそれを苦笑いで見ている陸を置いて匠がこちらに駆け寄って来てくれたので、ひとまずおはようの挨拶だよねって声をかけた。  「えっと・・・僕、何も把握できてなくてちょっと・・・いや凄く混乱中なんですけども。何がどうなって・・・?えー・・・どういうことでしょう?」  「あー、こないだ結翔とデートしてさ、そん時に俺のになってくれたから。だから俺の結翔を全力で甘やかしてんの」  「・・・俺の結翔。全力で甘やかしてる・・・。あの田原先輩が?」  おっと、匠が珍しく本当に混乱して目ん玉落っこちそうなほど目を見開いて蓮先輩と僕を凝視してる。  僕、まさか今日蓮先輩が朝お迎えに来てくれるなんて思ってなくて。  だから匠には蓮先輩のお気に入りにしてもらえた事、今日の朝に報告しようと思っててまだ言ってなかったんだよね。ビックリさせちゃった。  それにしても僕割と最初から蓮先輩に甘やかしてもらってる気がするんだけど。  あ、でも今日はもう別格に甘々に甘やかしてもらっちゃって僕ふにゃふにゃになっちゃってるなぁ。  そう思うとやっぱりお気に入りって凄い・・・って本日何回目だろうって感じの感想を抱きつつも、匠に凝視されて苦笑いが溢れる。  そんな僕の様子に気付いた蓮先輩がまた頭を優しく撫でてくれて、少し落ち着いていたはずのふにゃふにゃが舞い戻ってきちゃった。  僕、今日蓮先輩に甘やかされ過ぎて溶けちゃいそう。  嬉しくなっちゃってまたもやヘラリと笑ってしまう僕を見た蓮先輩は、満足そうに笑って何故かまた僕を引っ張って抱え込んでしまった。  あれ?なんで??  蓮先輩の腕の中でコテリと首を傾げて考えてみたけど、何の前触れも無かったよね?  僕がそんなふうに、うーん?って考えてるうちに蓮先輩は何事も無かったかのようにまた話し始めた。    「そー、それなんだよな。匠だっけ?その様子だとお前俺の噂知ってる感じ?」  「はぁ、匠です。僕が考えてるのと同じ噂なら知ってますねぇ。あの、それより何をされているんでしょう・・・?」  「ん?可愛い俺の結翔を充電中。まだ足らねぇもん。それより噂知ってんなら話が早いな。あの噂9割蜜樹のとばっちりなんだよ。蜜樹が遊んでるから俺もそうだろうって勘違いした奴が寄って来んだよな」  あ、僕また充電器なのですね、把握しました。それなら大人しくしてよう。  モゾモゾ動いてた僕だけど、蓮先輩が僕を抱え込む事で元気になるなら大人しく抱き込まれる以外選択肢ないよね。  っていうか蓮先輩、心底面倒臭そうな声色してるなぁ。抱き込まれてるから顔見えないけど。  ・・・・・・腕の中で大人しくしてたら蓮先輩の規則正しい心音が伝わってきて安心して力が抜けてきちゃうんだよなぁ。  「でもそんなやつ相手にすんの面倒だから適当にあしらってたんだけど、それが気に入らなかったみたいで無い事無い事言いふらされてるっぽくて。否定すんのも面倒だから放っておいてたんだけどさ」  「はぁ、充電。・・・まぁいいや。えっと、無い事無い事ですか。なるほど、噂は所詮噂だったって事ですね」  「そう。んで、俺の適当な噂流してる奴らも特定出来てないし・・・それに俺って目立つらしいからさ、結翔が変な奴に絡まれねぇか心配なんだよ。四六時中ずっと俺が付いててやりてぇけど現実問題不可能だからさ、俺が居ない間はできる限り結翔と一緒に居てやって欲しいんだよ。そんでもし結翔が絡まれたら俺に連絡して。絡まれてる最中に結翔は携帯出せないだろうし」  「・・・なるほど、そう言う事なら任せてください。元々僕達ほぼずっと一緒に行動してるんで」  「良かった。サンキューな。結翔、すぐ1人で何とかしようとしちまいそうじゃん?ちゃんと守りてぇから一度お前と話付けときたかったんだよね」  「・・・・・・溺愛じゃないですかぁ」  「だって結翔、クソ可愛いもん」  「それは全面的に同意します。なんか安心しちゃいました。結翔の事、よろしくお願いします」  「ん、一生任せてくれて良いよ」  「・・・なるほど」  2人がそんな話をして連絡先を交換していた頃、蓮先輩の腕の中で蓮先輩の香りを感じながら蓮先輩の鼓動に耳を澄ませる、っていう幸せタイムを堪能していた僕はスッカリサッパリ話を聞いていなかった。  相変わらず蓮先輩に抱き込まれると僕の脳みそはドロドロに溶けて蓮先輩の事しか考えられなくなっちゃうらしい。  「結翔?大丈夫か?眠くなっちゃった?」  「・・・ハッ!大丈夫ですっ!蓮先輩の鼓動を聞いてたら安心してぼーっとしちゃってました。僕、全然話聞いてませんでした。ごめんなさい」  僕のポンコツ!って慌てて蓮先輩を見上げると、ハハって笑った蓮先輩がまた頭を撫でてくれた。  「いいよ、結翔が安心できる場所になれて嬉しいし」  蓮先輩はポンコツな僕にも優しくて、思わず頭を蓮先輩の胸元にグリグリ擦り付けてしまった。  もー!大好きだよぉお!

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