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え、嫌ですけども⑤
また静と陸が戻ってくるまで2人でキャッキャしながら騎馬戦の応援をして、静が鼻に詰め物して戻ってきた頃に棒倒しの選手が入場してきた。
・・・・・・上裸でね!!!!
キラキラ光る蓮先輩の綺麗な髪の毛ですぐに見付けられたんだけど、選手が上裸って事は蓮先輩ももれなく上裸で。
思っていた以上にバキバキに腹筋は割れているし腕の筋肉もしっかり付いていて。
今度は僕が鼻血を出してしまいそうだった。
蓮先輩が格好良すぎる・・・・・・!
思わず鼻を押さえながらも蓮先輩の姿を惚けるようにジッと見つめていると、開始のホイッスルが鳴り響いた。
棒のてっぺんに刺してある旗をとった方が勝ちらしいけど、結構高いし棒の周りには防衛の為にたくさん人が居て登るのも難しそう。
ホイッスルの音と共に蓮先輩を含む何人かが相手の棒へ向かって走り出したのをハラハラしながら見つめていると、足も速いからあっという間に敵陣に到着した蓮先輩達。
・・・・・・あ、ぶつかるっ!
無意識に鼻を抑え続けていた手を顔の前で祈るようにギュッと握って、周りに負けないくらい大きな声で頑張れーって声を出し続けた。
するとスクラムを組んだ味方を踏み台にして大きく跳んだ蓮先輩が、容赦なく敵の背中を蹴り上げて棒に飛び付いたんだ。
え、すっごい!って思わず興奮してピョンピョン跳ねながら、がんばれーっ!いけーっ!ってたくさん声を出して応援しているうちに蓮先輩はどんどん棒を登っていく。
本当に凄すぎじゃ無い!?蓮先輩が格好良すぎる・・・!
旗を取るのを阻止しようと手を伸ばす人達を器用に避けながらスルスルと棒を登って行った蓮先輩は、あっという間にてっぺんに到着して。
驚く程あっさりと旗を自分のものにしてしまった。
あまりの早業にグラウンドは大盛り上がりで歓声が止まらない。
僕も思わず拍手喝采してしまった。
終了のホイッスルと共に登っていた棒から降りて来た蓮先輩はすぐに味方の人達に囲まれたんだけど、キョロキョロと何かを探すように顔を動かしていて。
目一杯拍手喝采している僕とパチリと視線があった。
その瞬間、いつもみたいにフワって優しく笑みを浮かべた蓮先輩の口が「結翔」って動いた気がして。
持っていた旗をヒラヒラって振ってくれたんだ。
僕は早く蓮先輩に、凄く格好良かったって伝えたくて、周りの歓声に紛れて「蓮先輩格好良いですーっ!」って叫んじゃった。
多分聞こえてないと思うけど、興奮してたからね、我慢できなかったんだ。
早く蓮先輩戻ってこないかなってソワソワしていた僕は、退場ゲートの方をチラチラ見ながら次の試合を応援してたんだけど、退場ゲートから戻ってくる蓮先輩のキラキラの髪の毛がチラッて見えた瞬間、もう我慢できなくなっちゃった。
「僕ちょっと行ってくるねっ!」
「うん、いってらっしゃいっ!」
「転ばないように気をつけるんだよ?」
「狼には気を付けてくれよ!?」
走り出した僕にそう言ってくれた3人にありがとーって手を振って蓮先輩が見えた方へ走る。
・・・それにしても静はさっきから狼狼って言ってるけどどうしたんだろうね?
「結翔?」
視線の先には走ってくる僕に驚いたみたいに目をまん丸にした蓮先輩。
その場で止まってパッて腕を広げてくれた蓮先輩の腕の中にボスって突っ込んじゃった。
「蓮先輩お疲れ様ですっ!すっごいすーっごい格好良かったですっ!おめでとうございますっ!」
飛び込んできた僕をそのままギュッて抱きしめてくれた蓮先輩を見上げて勢いよくそう言うと、蓮先輩が嬉しそうに破顔して。
「結翔にそう言ってもらえると嬉しいな。出た甲斐があった。ありがとな」
僕をギュってしたまま頭を優しく撫でてくれたんだ。
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