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 赤茶色い土。ただそれしか見当たらない、道路と呼べるか分からない場所を、男二人が車で進んでいる。  助手席に座る青年は機嫌が悪いのか、眉間に皺を寄せて窓の外を眺めている。身綺麗な格好は、たった今何もないこの土地に現れたかのように整っている。  一方で、運転席の男は最低限不快でなければ特に何も困らないという風に対称的であった。サングラスのレンズだけは汚れが見当たらないが、フレームは小さい傷が多々残っている。  そんな二人がいる車の中。会話は一切なく、ラジオを切られており、エンジンの音だけが響き渡っているだけであった。時折、男が運転をしながら煙草を吸う息遣いが聞こえる。ただそれだけである。  何度かそれを繰り返したところで、辺りは暗くなってきた。平坦な道は続いていくが、その中で男は何かを探していた。  すると、岩のようなものが置かれた場所が現れてきた。視界に入ると小さな声で「おっ」と呟き、そこへ向かっていく。  大きめの窪みがある手前で車を停車させ、エンジンを切る。サングラスを外した男は青年の方を向く。 「夜は運転しない主義なんでな。今日はここで休むぞ」 「……分かった」 「ってことで、食事としますか」

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