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プロローグ 2

うちの学校は、とてつもなくデカく、生徒の人数も膨大だ。 俺は入学したての時、いつも音楽室に行けなかった。 音楽室に行こうとしても理科室に着いてしまい、 泣きそうになったこともしばしば…ホント、ややこしいんだよ! そんなデカい学校で、知らないヤツはいないくらいの有名人、 タチバナ ユウト 生徒会長を全校生徒の投票で決めるうちの学校。 いつかやってくれると思ってたけど、2年で生徒会長とは…恐るべし人気! 噂では、成績優秀でちょーカッコよく、クールでオーラが芸能人並みとか…。 しかもうちは金持ちらしい。 目の前の芸能人…違っ、有名人のアイツは、 耳が隠れるか隠れないくらいの長さの黒髪は、優等生を絵に書いたよう。 切れ長の目に鼻筋が通った高い鼻。 カッコいいより、キレイと言った方が相応しいような。 …とにかく何もかも衝撃的で、同じ学年にこんなヤツがいたとは。 「渚ぁー何見惚れてんの?」 「う、うっせー!誰が見惚れてんだよ!つーか渚って呼ぶな!」 「いいじゃん別に、友達なんだしどう呼んだってさ。」 「お前は男らしい名前が付いてるからそんな呑気なこと言ってられんだよ!」 「そんな怒るなよ、しょーがねーじゃんか俺の所為じゃねーよっ。」 あぁ、また始まったよ… みたいな呆れ顔の俺の親友、 向井 京太(ムカイ ケイタ)は、1年からの親友で、俺のことを時々からかって下の名前で呼ぶ。 「向井は、親に感謝だよ、京太って男らしい名前付けてもらえて…」 「はいはい、分かりました。…もう聞き飽きたよ。」 「あぁ?なんか言ったか?」 「いいえ、なんにも。てゆーか、新しい生徒会長の噂知ってるか?」 「知らねー。だって俺、今初めて見たんだし、噂も一般的知識の噂しか知らねーもん。」 視線をステージに向けると、 全校生徒の視線を浴び、 爽やかとは程遠い無愛想のアイツが、任命の挨拶をしている。 「―…橘 優人です。新しい生徒会長として頑張りますので、よろしくお願いします…」 そんな生徒会長と俺の関係がとんでもない方向へ発展して行くことなんて、 あの時の俺は知る由もなく… あたり前だけど、 運命の出逢いなんてこれっぽっちも信じてなかった…

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