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第2章 イジワルな恋心 1
昨日は、どうやって家まで帰ったのか正直記憶がない。
あの後ふわふわしてる俺に橘はズボンを履かせ、制服を整え、ご丁寧にネクタイもキュッと締められ俺を先に帰した。
橘は片付けしてから帰るって言ってたけど、いったいいつまでいたのか…
家に帰ったら夕食の時間がとっくに過ぎてて、かーちゃんに怒られまくったのは言うまでもない。
飯を食ってても、風呂に入ってても、なんかモヤモヤしてて気付くと橘の顔がちらつく。
確かに気持ちよかったけど、俺にはそんな趣味はねーし、きっと一時の気の迷いってやつだ。
それに騙されるな俺!
コロッケパンの合間の焼きそばパンなだけだ!!
でも、色っぽい声で名前呼ばれた瞬間イったのは事実だし……
「んぁぁ────!!」
「な、なっんだよ、いきなりどうしたんだよ!?」
「また思い出しちまったじゃねーか!」
「なに?なに思い出したんだよ。」
「アイツが………」
ヤバい!
流れで向井に昨日の事言いそうになっちまった。
ここは教室。
昼下がりの憩いの場で、そんなふしだら事言ってみろ。
即、軽蔑の眼差し…つーかもう学校来れねーだろ。
「アイツ?誰のこと言ってんだよ」
「なななななんでもない!!」
「おい、相原ちょっと今日おかしいぞ?昨日、生徒会長に呼び出されてそれで何か言われたのかよ?」
───⋯⋯オレのモノになれよ
「言われ……た、いやいやいや言われるわけねーじゃん!!」
「なにムキになってんだよ、渚?」
………渚………
「な、な、なまえで呼ぶな!」
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