31 / 498
イジワルな恋心 5
そんな事を考えていたら、
「おい、渚!」
「えっ?!」
俺を呼んだのは橘ではなく望月で、
橘というと、黒瀬先輩と話しててこっちには目もくれないでいる。
ほっしーは早々に、失礼しますって言って帰っちまったし。
「なぁ?渚は好きなコとかいるのか?」
「なっ!?なんなんですか、いきなり!!」
「いや、なんとなく。」
ニヤリとしてなんか思わせ振りな望月は、それ以上何かを言うわけでもなく生徒会室を出ていった。
何なんだ?
「相原!おまえももう帰れ。オレと黒瀬で戸締まりしてから帰るから。」
やっぱりだ……何だかいつもの橘と違う気がする。
あれ程までに、俺にちょっかいを出してたやつが、どうして……
だけど、
バカな俺にはその理由なんて分かるわけもなく、
昨日…“俺のモノになれ”と言われたことも、
息苦しいほど抱きしめられたことも、
単純な俺は、アイツの気まぐれがもたらしただけだって思ってしまったんだ。
……俺の奥底に芽生えた恋心が動き出していることも気付かずに。
そして、その数日後……
橘と黒瀬先輩が付き合ってるという噂が広まった────
────⋯⋯
───⋯⋯
ともだちにシェアしよう!