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春雷 3
すれ違う生徒もほとんどいない薄暗い廊下を走り、やっとの思いで下駄箱にたどり着き、靴を履き替え外へ出る。
校門へ行き、最初の角を曲がったとこで雷と一緒に雨が降っていたことに気付く。
「……はぁ、……はぁ、」
息を切らし空を見上げれば真っ黒い雲から雨粒が無数に落ちて、それが顔に当たり流れ落ちまたそれを繰り返す。
制服も雨で濡れてしまったから電車にも乗れない。
それに、なんだか電車なんか乗る気分じゃなかった俺は歩いてうちまで帰ることにした。
しばらく歩いて気付いたら雷はだいぶ遠くに行ったみたいで、時々遠くで鳴っているくらい。
雨は相変わらず降ってて、道路を走る車のライトが濡れたアスファルトに反射して時々眩しい。
俺………なにやってんだ…
橘と黒瀬先輩のキス現場見たくらいで、
俺………なにやってんだ…
だけど、橘が黒瀬先輩とキスしてるとこは、もう…二度と見たくない。
バカな俺でも自分の異変に気付かないほどバカじゃない。
それが何なのか、頭の片隅では気付いてる。
でも、気付かないフリをしてやっと着いたうちの玄関のドアを開けた⋯⋯────
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