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春雷 13
「あと、望月先生も心配してたよ?」
「望月……?」
あ、望月で思い出したけど、
「あのさ、望月に腕掴まれそうになった時助けてくれたのも橘に頼まれてたから?」
「え?!……あ、うん。それもあるかな。」
「やっぱりか……」
アイツの考えてることがわからない。
これも遊びの一つなのか?
俺が戸惑う姿を見て楽しんでるのか?
でも、ほっしーの話しを聞く限りではマジなような気もしなくもない。
────⋯⋯気晴らしだ
あの時、俺ははっきりアイツにそう言われた。
だから、そこまでする理由がわからない。
俺を守ろうとする理由なんてないじゃないか。
また頭がズキズキしてきた。
これは風邪のせいなのか、
それとも他の理由なのか……
「ちょっと横になった方がいいよ、ほら……」
「あ、……わりーな。」
身体を横にすると少しラクになって、その代わりまた余計なことを色々考え出してしまう。
「少し眠った方がいいよ。僕もそろそろ帰るから。」
「なんか、色々ありがとな……」
「いいって。早くよくなって今度の定例会議で会おう。」
そうだ、定例会議で思い出した。
「あ、ほっしー……もう一つ聞きたいことがあるんだけど……」
「なに?」
「先週の会議って…雷が酷かった日だったよな?」
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