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心をほどいて、心を結んで 3
「相原には関係ないことだ。オレ、個人の問題だ。」
「この場に及んで関係ないとかよく言えるよな!」
「俺が……俺が、どんな気持ちで……」
「………とにかく、今日は送るからおまえはもう帰れ。」
どうしてそんな平然としてられるんだ。
俺だけかよ、こんなに苦しいのは……
俺だけこんなに必死になってバカみてーじゃねーか。
どうして、どうして……
「ほら、行くぞ。」
無理矢理掴まれた腕を嫌だと振り払う。
「おまえの口から理由を聞くまで俺は帰らない!」
「はぁ……もう勝手にしろ!!オレに関わるなって前にも言ったろ!」
「だったら!……だったら、どうしてキスなんかしたんだよ…どうして…惑わすような事言ったんだよ!!おまえのせいで俺の頭ん中ぐちゃぐちゃだよ……!
俺ばっか余裕なくて、苦しくて……」
気付いたら、目の前の橘がものすごい驚いた顔をしていて、そしてだんだんと視界が滲んでいく……
瞬きをしたら、それはぽたぽたと床へ零れ落ち染みを作っていった。
あぁ、俺………泣いてんだ……
ぼんやりと実感した次の瞬間、
「………ったく……泣くなんて反則だぞ……」
そう言われ、
次の瞬間、
橘に、
強く抱きしめられた────
そして、
お互いの心臓の音が重なり合うような感覚を覚えた気がした瞬間、
俺はそのまま意識を失った…………
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