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心をほどいて、心を結んで 6
橘も俺のことが好き……
でも、“気晴らしだ”って言われことがずーっと頭から離れない。
「……気晴らしじゃないのかよ?」
「それも含めこれからちゃんと説明する。もう渚を泣かせるようなことは言わない……オレを信じろ。」
「じゃあ、コロッケパンの合間の焼きそばパンじゃないってことか?」
「……またそれか。パンはよくわかんねーけど、オレの気持ちにブレはなかった。酷いことを言っちまったけど、ずっと渚のこと忘れたことはなかったよ。」
「………なんだよ、ややこしいことすんなよ!俺は……」
「なぁ、唇にキスしてもいいか?」
「え?」
聞いたことなんか一回もないくせに、いつもいきなりするくせに今日の橘はなんだか、すげー甘い。
「いつもいきなりするじゃねーか。急にどうしたんだよ。」
「バカな渚にはわかんねーかもな。じゃあ、これからは勝手にさせてもらう。」
「バカってなんだよ!意味わかんね……んんっ」
久しぶりのキスも、やっぱりいきなりで、
俺は……
懐かしさを唇から身体中いっぱいに感じていた。
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