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心をほどいて、心を結んで 9

目の前の橘はついさっきまでの甘さの欠片もないくらいに厭らしくニヤリと笑い俺を押してきた。 俺に跨って見下ろす橘の表情は色っぽくてカッコよくて、ふと……どうして俺なんだろうって思ったから素直に聞いてみたけど、 「なぁ?なんで俺なんだ?俺なんかよりもっといい女……あ!」 「……たくっ、なんだよっ。」 ため息と一緒にすげー不機嫌な声が降ってきた。 「黒瀬先輩は?!おまえら付き合ってんだろ?なのに、いいのかよ?!」 だけど、気になることはとりあえず聞いてみよう精神な俺は次々と質問をしてみる。 だって気になるだろ、あんな美人より俺なんて。普通ありえねーだろうよ。 「……おまえさぁ、このタイミングでそれ?その話後にしてくんない?この状況見てわかんねーの?」 「だって思い出したから……」 「なんで今思い出すんだよ。せめてセックス終わってから思い出せよな………。」 「セッ…クスって……ふつーに言うなよっ!そうだよ、黒瀬先輩とそーいうことしてたら二股じゃねーか!俺と黒瀬先輩どっちが…す、すきなんだよっ!」 「渚さ、天然なの?それとも計算で言ってんの?」 「……へ?俺はただ……」 俺、おかしなこと言ったか?気になったから聞いただけなのに。 単純に男より美人な女だろって思っただけなんだけど…… すると、なんだか足の太股のあたりに硬いモノが当たってて……

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