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想いの証 6
「………まだ覚えてたわけ?」
「当たり前だろ!ちゃんと全部説明しろよ。誰のせいでこんなことになっちまったと思ってんだよ!」
「なに、オレと寝たこと後悔してんの?」
抱きしめながら顔を覗き込まれ、この空気に耐えられなくなって思わず下を向いてしまった。
「………渚、答えろよ。」
後悔なんてするわけない。ただなんつーか、色んな事が一気に変化して、戸惑ってるっつーか……
「気持ちがついていかないってゆーか、なんで男の俺なのかなって。でも!……後悔なんてしてねーから!!
俺も、なんつーか…うまく言えねーけど、橘とこんな風になってよかったってゆーか…って、あれ?俺っ何言ってんだっ?!あー!今のナシ!!」
何言ってんだかわかんなくなって、勢いよく顔を上げて振り向いたらすげー近くに橘の顔があって、そのまま唇を寄せてきてゆっくりと優しいキスをされた。
「……ッ……ん」
でもすぐに唇は離れて行って、また力一杯抱きしめられる。
「……たく、ナシになんかしねーよ。
渚はオレのモノだ………誰に何を言われたって。」
「…………う、……うん。」
背中に感じる愛おしいほどの体温と心音。
やっぱり何があったのか知りたいし、
俺だって、橘の役に立ちたい。
初めてなんだ、こんな気持ち……
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