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想いの証 12

「………あと少し。あと少しだけ待ってくれ。ちゃんとケリをつけて黒瀬とは別れるから。」 「別にもう俺は気にしてねーよ。」 こいつが今好きなのは俺。 俺も今好きなのはこいつ。 それは確かなはず。 だから、今さら橘が黒瀬先輩と別れようが続けようがどーでもいい。 「渚がよくても、オレにはよくねーんだ。」 体をすっと放し、優しい触れるだけのキスをされ、ひんやりと少し冷たいその手で頬を撫でながらまたキスを唇に落とす。 触れられた手は少し冷たいけど、伝わる想いは焼けるように熱い。 溶けてしまいそうなほどの熱い眼差しは、俺をもっともっと熱くさせる。 「……渚だけは今までと違うんだ。絶対に手放したくないから必死なんだよ。 だからそんなこと言わないでくれ。」 正直意外だった。 こいつがこんなこと言うなんて。 「オレの……想いの証を渚に証明したい。 ……そのぐらい本気なんだ。 だから、そんなこと言わないでちゃんと待ってろよ。」 真顔でそんなことを言われ、 「……し、仕方ねーから待っててやるよ。」 そんな相変わらずな返事しかできない俺だけど、満足そうに優しく目を細めて微笑む橘を見て俺はあらためて思った。 俺だってこいつを守りたい。 そして、俺は…… あることを決意する。

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