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想いの証 13

* すっかりそれどころじゃなくて忘れてたけど、朝飯もまだで話が一段落した途端、腹の虫が鳴きだしやがった。 「渚、ムードぶち壊し。」 「はぁ?!別にそんなムードになってなかったじゃん!」 「はいはい。飯作るからシャワーでも浴びて待ってろ。部屋出てリビング抜けた先だから。」 「あ、うん。……ありがと。」 真剣モードでもなくいつも通りの橘に戻ってたから少し安心したけど、それは出会った頃なら気付かなかったと思う。 橘がふと見せる表情は、時々曇る。 でも俺はまだそれに気付かないフリをする。 それが今は一番いいと思ったから。 そして、部屋から橘が出て行ってすぐ、ゆっくりと目を閉じここ1ヶ月のことを思い出してみた。 * 「あー旨かった!橘って料理出来んだな。ちょっと意外。」 橘の手料理は男のくせにすげー旨くてまたちょっと意外な一面を発見した俺はちょっと嬉しくなった。 「一人暮らしだからそのぐらい出来ねーとだめだろ。」 そうだ、こいつ高校生のくせにすげー高そうなマンションに一人暮らしとか次元が違う。 「なんで一人暮らしなんてしてんだよ。」 「……オレの両親、仕事でほとんどうちにいねーし、学校まで遠いから学校の近くにマンション借りてんだよ。」 「ふーん。でも両親よく許してくれたな。未成年だし心配じゃん。」 「心配なんてしねーよ。……あいつらだって好き勝手やってんだから。」 なんか、聞いちゃいけないこと聞いちゃったかも。 き……気まずい とりあえず、話を変えよう。 「あぁ!そ、そうだ!! 俺の携帯知ってるだろ?出せっ!」 「なんだよ急に。」 「さっき探したけどなくて、おまえどっか隠した?」 「隠すわけねーだろ。ちょっと待ってろ。」

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