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真実の鍵 17
会議はいつも通り終了した。
「じゃあ、ほっしー頼むな。」
「うん、任せといてっ。」
計画通り、ほっしーは色々理由を付けて橘を連れて帰ってくれた。
望月も今日はこの後も職員会議があるとかで足早に帰って、気付けば俺と黒瀬先輩2人だけになっていた。
「………あ、あの!」
なんかすげー緊張する。
でもちゃんと真相を突き止めなきゃ。
「あの、黒瀬先輩!」
「なに?」
いつもニコニコと笑いながら話してくれるのに、今日の黒瀬先輩はいつもと違う。
俺に対して明らかに嫌悪感を抱いてるような、そんな鋭い眼差しで返事をされた。
「ちょっと聞きたいことがあるんです…けど、いいですか?」
静まりかえった室内に響く俺の声は緊張で上ずっててちょっとカッコ悪い。
「ちょうどよかった。私も相原くんに聞きたいことがあったの……優人のことで。」
優人……って呼んでるんだ……
付き合ってるんだから当たり前か。
じゃあ橘は黒瀬先輩と2人きりの時は桜子って呼んでるのかな……って考え出したら胸がチクリと痛んだ。
「ねぇ……相原くんて彼女いる?」
は?!
そして続けざまに突然そんなことを言いだしたからこっちはびっくりして固まってしまう。
今そんな話関係ないよな……
だけど黒瀬先輩の目がまた鋭く俺を貫き答えを静かに待っている。
「い、いないです…けど。」
「友達がね、相原くんのこと気に入ってて、彼女いないなら付き合ってくれないかな?……優人から聞いてない?」
は?!
橘も知ってるのか?
「いや、聞いてないですし、今は彼女作る気は…ないです。」
「優人も協力するって言ってたからてっきり言ったものだと思ってたのに。」
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