邪魔……って。 何も言えない俺に、突き刺さる言葉。 それは明らかに敵意に満ちてた。 「相原くん、私と優人の邪魔しないでくれる？優人の周りちょろちょろされると目障りなの。」 これがこの人の本性か。 じゃあ、俺だって…… 「ちょろちょろなんてしてません。先輩こそ昨日、うちに何しに来たんですか？」 「私ってよくわかったわね。……私は、相原くんにそのことを話したくて行っただけ。」 絶対嘘だ。俺たちが一緒に居たか確かめたかったんだ。 でもそれを証明することなんて出来ないからうちに来たって意味ねーのに。 「そうですか。友達のとこに居たんで。それに……あの、邪魔したつもりはありません。俺と橘は生徒会長と書記。ただそれだけです。」 ただそれだけ…… 自分で言って泣きそうになった。 でも、俺たちの本当の関係を言うわけにはいかない。 ……じゃないと、生徒会長の名に傷が付く。 それは絶対にダメだ。 俺なんかは別に書記を降ろされたってかまわない。 でも、橘は生徒会長で居てほしい。 「ただそれだけ？…本気で言ってるの？」 「………は、はい。」 「優人のこと、好きなんじゃないの？」 カマをかけてるのか？！ ストレートに問われるとぼろが出ちまいそうで、俺は必死に誤魔化した。 「俺が橘を好きなわけないじゃないですか？！男…同士ですよ？」 「そうよね。なら、書記……辞めてくれる？」 「………え」 先輩はどこまで俺を切り捨てたいんだ。 「それに、優人の前で友達として応援するって言って。そんなのただの生徒会長と書記の関係ならなんてことないでしょ？」 出来ることなら……頷きたくない。 せっかくお互いの想いが通じたのに。 でも、俺たちはこんなことで壊れやしない。 そう信じてる。 俺はあいつが、……橘が好きだ。 だから、 「……いいですよ。」 そう俺は頷いた。