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真実の鍵 20
───⋯⋯
いつの間にか外は暗くなりはじめ、室内も薄暗い。
なのに、お互いそんなことはどうでもよかった。
まるでそこには誰もいないかのような静寂。
数秒の間の後切り出す声色は少し動揺しているようで、たぶん俺が素直に頷くと思ってなかったのだろう。
「……そ、そう。じゃあ、今から優人を呼ぶから、目の前でちゃんと言ってね。」
「あの…その前に、1つ聞いていいですか?」
「なに?」
「雷が酷かったあの日、先輩と橘がここでキスしてたのを俺に見せ付けるように仕組んだのは先輩ですよね?」
今となっては、どうでもいいことだけど……
「今更聞かなくてもわかるでしょ?」
「……ですよね。でも、どうしてそこまでするんですか?」
何故、俺に知らしめるようなことをしたのか。
まるで、俺が橘を好きでそれを諦めさせる為……のような。
橘は好きな人はいるけど俺の名前は出さなかったって言ってた。
なのに、なんでだ……
「知りたい?」
「はい。」
「相原くんは知らない方がいいと思うけど。」
「どういう意味ですか?」
知らないのは俺だけ……?じゃあ……
「橘はその理由を知ってるんですか?」
「さぁ……」
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