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真実の鍵 25
『学校だろ!何やってんだよ、なんでうちに帰ってねーんだっ!』
「…………。」
足音が近付いて来たような気がして、何も言えなくなってしまう。
そして足音がドアの前で止まり、
ガチャッとドアが開いて携帯を耳に当てたままの橘が踏み込んできた。
「渚っ!電気も付けないで何やってんだよ!!」
室内が一気に明るくなり、明るさから目がチカチカする。
あーあ……明るくなるとこのひどい顔がバレちまうじゃんか。
正直、こんな今にも泣きそうな顔見せたくなかったのに。
「………黒瀬」
「相原くんだけじゃなくてごめんなさいね。」
そしてすぐ先輩の存在にも明るくなって気付いた橘だったけど意外にもそんな驚いてないように見えた。
「やっぱり……。黒瀬っ!渚に何吹き込んでたんだよ!」
「私の前で渚って呼ばないでよ!」
「はぁ?嫉妬するのも大概にしろっ!」
「渚、ここで2人で何してたんだ……?」
「え……っと……」
橘の顔が見れない。
「私が話すわ。」
戸惑う俺とは対照的に、顔色一つ変えない先輩が口を開く。
「最初に呼び止めたのは相原くんよ。……優人のことで話があるからって。」
「そうよね、相原くん?」
「あ、は……い。」
「私と優人に話したいことがあるからって言うから話してただけよ。優人もちょうど来てよかったわ。」
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