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真実の鍵 26
ちょっと待て、話おかしくないか?!
橘には別に話なんて………
そっか……くっそ………わかったぞ。
さっき話してたことを今言えってこと、か。
「なんか、優人に言いたいことがあるんだって。」
「なんだよ?話って……」
真っ直ぐ突き抜けるような視線で俺を見る橘。
でも、俺はうつむいたまま動けないでいた。
まともに顔なんか見たら、絶対に無理だ。
だって、嫌いなんかじゃないし、迷惑だなんて思ってないのに……
ただ、好きなのに……
好きなだけなのに……
「………渚?どうしたんだよ……」
そんな優しく俺の名前を呼ばないでくれ。
俺を呼ぶその声に決心が揺らぎそうになる。
だけど、
「俺………」
「なに?」
言わなければいけない……
橘の為にはそれしかないんだ。
震える唇を隠すため少しだけ視線を外し、言わなければいけない続きを口にした………
「俺……よく考えたら……おまえの…こと、好きかもって思ったの、…勘違いだったみた…い……。やっぱり、俺……男なんかより、女の子の方が…いいし……」
大丈夫、ちゃんと言えた。
声だってそんな震えてなかったはず。
大丈夫………
そう心の中で呟きながらも、一言一言発する度に、
少しずつ、少しずつ、
心が粉々に砕けていくように頭の中が真っ白になっていった。
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