そんな浮き足立ってる俺とは対照的に、先輩は意味を理解したのか途端に静かになった。 「……………もういい、わかったわ。諦めてあげる。その代わり、あの動画は好きにさせてもらうから。どうせ付き合ってるならみんなにお披露目した方がいいでしょう？」 「勝手にしろ。ただ渚は関係ないだろ、オレのだけを使え。」 「な、なに言ってんだよ、おい、橘！それはダメだ！おまえ生徒会長クビになっちまう！」 「生徒会長？んなもん別にどうでもいい。俺が生徒会長クビになったところで何かが変わるわけじゃない。」 「だっておまえ、言いなりになってまで生徒会長を……」 「黒瀬の言いなりになってた本当の理由は渚を守る為だ。」 「なんだそれ………」 「おまえには友達が多い。親友もいる。もしも、男と付き合ってるなんてバレたら渚を苦しめることになる。だから出来るだけ守ろうって決めた。渚のことを諦めることは出来ない…なら、オレの手でなんとかしようって思ったんだ。」 「そんな………」 理由はちょっと違うけど、好きな人を守りたい……そこは一緒だった。