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真実の鍵 34

「ば、ばかやろう!俺のこと心配する暇あったらてめーの肩書きの心配した方がいいに決まってんだろ!」 そんなことを言われて嬉しいくせに、こんな時も素直になれなくて無駄に意地を張ってしまう。 「肩書きなんていらねーんだよ!オレのことなんか別にどうでもいい。」 「どうでもいいとか言うなよ!俺だっておまえを……」 ……大切だから守りたい。 それに橘には生徒会長でいて欲しい。 「優人………あんたバカね。そんなんじゃろくな大人にならないわよ……」 俺の話を遮り言い放つ先輩の声は諦めにも似た声で、 「そこまでバカだとは思わなかったわ。あんたなんか……大嫌い!!」 その声は少し震えてるように聞こえた。 「相原くんに、………優人あげるわ。」 「………先輩?」 そしてそう静かに言い残し、先輩は一度も俺たちを見ないで生徒会室から出ていった。 多分、先輩なりの強がりなんだろう。 女のプライドってやつかな。 なんか、ちょっとかわいそうかなって思ったりなんかして……… 「………橘?先輩にちょっと言い過ぎたんじゃないか?」 「はっきり言ってやった方がいいんだよ。その方が黒瀬の為になる。」 考え方とか日頃適当なくせに、いざというときはこんな風になんでもお見通しなのがムカつくけど、 ムカつくけど、 そんなこいつも、 やっぱり好きで…… 諦めなくてよかった……

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