153 / 498
愛しくて、優しい……人 6
「俺はっ、俺は、後悔してねーよ。なんつーか、出逢いはいきなりだったけど、たぶん…初めてキスされた時から俺はおまえを気になってたんだと思う。」
気付いたら気になってて、いつの間にか頭の中は橘でいっぱいだったここ数日。
「……だから、そんな不安になるなよ。俺の顔を見て不安が消えるなら毎日でも見せに行ってやる、ありがたく思えよ。」
素直になれない俺の精一杯。
「……………渚」
「……す、すげー好きだから、安心しろ。」
肩に額を押し付け、俺はそっと呟いた。
「嬉しいよ。こんなに“好き”って言われるのが嬉しいものとは思わなかった。渚にとっては突然の出逢いだったかもしれねーけど、オレはずっと前から渚のことが好きだったんだ。」
え?
ずっと前から、好きだっ……たと?
「はっ…初耳なんだけどっ!!」
「今初めて言ったんだから当たり前だろ。」
「じゃあ、えっと……一時の気の迷いとかじゃねーってこと?」
「当たり前だろ。こう見えて渚に一年以上片想いしてたんだよ。」
マジかよ…………
ともだちにシェアしよう!