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愛しくて、優しい……人 8
すると、いきなり起き上がり俺を抱き抱えると、何故かお姫様抱っこをされリビングまで連れていくとソファーに下ろされた。
「てめー!どさくさに紛れてなにしてんだよ!!」
お姫様抱っことか人生初だし、つーか、普通するほうだろ!
なんで俺される側なんだよ!
無駄にテンパる俺に構うことなくドサッと下ろされるとそのまま押し倒された。
もう、なんかめちゃくちゃ恥ずかしくて思わず腕で顔を隠しちまう俺にのしかかる重み。
お姫様抱っこも恥ずかしいけど、一番恥ずかしいのはこの状況にドキドキして顔が異常に熱いこと。
ぜってー顔真っ赤だ。
「渚、腕どかせよ。」
「やだ!!」
抵抗むなしく力ずくで腕をどけられると、息が触れ合うくらいの至近距離まで顔が迫ってて更に熱が上昇していく。
「おい、耳まで真っ赤だぞ。そんな気に入ったならまたお姫様抱っこしてやろうか?」
「ば、ばかっ!しなくていいっつーのっ!!」
俺を見下ろす橘は一瞬だけいつもの俺様に戻ったのに、すぐに真剣な顔つきになってさっきの続きを話し出した………
「オレは、ずっと渚のことが好きだった。でも今日の一件で……好きじゃくなった。」
好きじゃくなった………?
どういうこと?
やっぱり…………嫌いってこと?
いやいやそれはない……はず。
じゃあ……なんで。
「またそういう不安そうな顔する……オレはその顔に弱いんだよ。」
「だっ…だって。」
こいつはどこまでが本気でどこまでが冗談か分からない。
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