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愛しくて、優しい……人 13
モヤモヤした気持ちは、両想いになっても晴れることはなかった。
むしろモヤモヤは種類を変えただけで、ずっと俺の心の奥底に住み着いてる。
今まで付き合った女の子相手にこんな気持ちになったことなんて一度もなかった。
それだけ好きってことか。
まいったなぁ……橘が俺にマジになればなるほどなんだか自信がなくなる。
俺でホントにいいのかな…
わりと深いことは考えない性格なはずなのに、最近はこんなのばっか。
出口の見えないトンネルにいるみたいだ……
「何がまいったんだよ。」
「え?!」
「渚って時々一人で自問自答してて面白いよな。」
げっ……
「うるせーうるせー!聞こえてても聞こえないフリしろよっ!あえてスルーするとこだぞ!」
「急に大人しくなったり騒いだり、やっぱ渚面白いな。」
面白い面白い言い過ぎだ。いっぱいいっぱいなんだからしょーがねーじゃんかよ。
こんな気持ちになるなんて生まれて初めてだし。
誰のせいだと思ってんだ。
そんな目の前のその張本人に悪態を吐こうとして口を開きかけた時、
「………んッ…んん……お、おいっ…ッ」
また噛み付くようにキスをされ、これでもかってほど舌を吸われる。
「…ッ……ふッ…んん…まって…くるし…ッ」
それは俺の不安を消し去るかように熱いキスで、角度を変え何度も繰り返された。
そしていつしか2人とも夢中で舌を絡ませ、キスは深さを増していった。
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