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愛しくて、優しい……人 17
「やっばッ……渚の中、たまんねーな……ッ」
「……ッ……い…たッ……んッ……もっと、ゆっくり…いれ、ろっ…て…」
「……ッ……余裕ねーって言ったろ…」
言う通り俺の中を奥へ奥へ進める速度はいつもより早い気がして、小刻みに出し入れをしながらも俺が感じる場所を時々突き上げ、あっという間に根元まで入ってしまった。
「……全部入ったぞ。」
「………う、うん…」
余裕ないとか言ってるくせに、全部入ったところでじっと俺を見下ろし動かないまま。
なんだよって不思議に思い見上げたら、おでこにチュッとキスされる。
「なっ…!う、うごかねーのかよ!」
「動いて欲しい?」
「だ、だって、余裕ねーとか言ってたじゃん…なんでそんな顔してんだよ。」
「どんな顔?」
どんなって、エロい顔……
だけど、その表情の中に一瞬だけ泣きそうな顔をしたのを俺は見逃さなかった。
一瞬なのにそれは脳裏に焼き付いて、一瞬だからこそ印象的だったのかもしれない。
でも、なんだか気付かないフリをしてしまった。
口にしたらこの幸せが幻想になるみたいな…大げさだって思うけど、そんな気がしたんだ。
だから、忘れよう……
今は、その方がいいって俺の単純な頭はそう判断したみたいだ。
今は、
忘れよう
「渚?」
「え?」
「………いや。つか、渚の方がエロい顔してるけどな。早く動いていっぱい突いて欲しいよーって顔してるぞ?」
………とりあえず、よかった。
いつもの橘だ。
「て、てめーのがエロい顔してんだろ!つーかそんなこと思ってねーし!」
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