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アイツのいない世界 2
正直、誰とも会いたくないし話したくもない。
出来ることなら学校なんて行きたくないけど、そんなことばかり言ってられない。
学校に行けば向井もほっしーもいる。
なんら変わらない日常なのに……
………アイツだけが居ない
当たり前だけど橘がいなくたって時間は進むし、世界が止まるわけではない。
俺だけなんだ。
俺だけが置き去りにされてる。
たった1ヶ月前までは橘なんて知らなかったのに、今は橘のことしか考えられない。
頭の中は毎日、毎日橘のことでいっぱいで、
どこにいるんだ?
何してるんだ?
…………なんで、何も言ってくれなかったんだ?
聞きたいことは山ほどある。
でも今は、
…………橘に、逢いたい、
逢って、顔が見たい
ただ、アイツの顔が見たいんだ
何があったかなんて今はどうでもいい
ただ、ただ、逢いたい
逢いたい
逢いたい
逢いたい
24時間休むことなく壊れたオモチャのようにその単語だけが俺の頭の中で繰り返され、埋め尽くされている。
自分でも気付かないうちに俺はアイツのことをこんなにも好きになっていたなんて…………なんか笑える。
“失った時、その大切さに気付くんだ”
誰かが言ってたっけ。
まさしくその通りだった。
今アイツの存在の大きさをこんなにも思い知らされるなんて、
こんなにもその言葉の意味が分かるなんて、
でも俺は、そんな言葉の意味なんて一生分かりたくなかった………
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