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アイツのいない世界 3
教室を出て廊下をよろよろと歩きながら、はぁ……と深いため息を吐く。
何も知らないのに気遣ってくれる向井にもなんだか申し訳ないなぁってぼんやり思っては、またため息。
俺と橘とのことを知らない向井は、俺の変わりようにどうしたんだと心配してくれてるけど、今のタイミングでは話す気にもならず……だから、俺がこんな状態なのも向井は本当の理由は知らない。
唯一、俺と橘とのことを知ってるほっしーは俺を心配して何かと気に掛けてくれていた。
昨日だって────⋯
───⋯
────⋯
『ほっしー!!橘はどこに行ったんだよ!!』
『相原くん、落ち着いて。僕もゆうちゃんから何も言われてなくて……わからないんだ。』
『ちきしょー……なんで突然いなくなったんだよ!』
『大丈夫、すぐ帰ってくるよ。ゆうちゃんのことだから相原くん一人にはしないと思うし。』
『すぐっていつだよ!もうすぐ1週間だぞ!』
『……そうだよね。ゆうちゃんにもきっと事情があってのことだと思うんだけど。何も力になれなくてごめん……』
『……あ、いや……ご、ごめん。ほっしーに言っても仕方ないのにな。ほっしーが謝ることねーよ、俺こそ怒鳴ったりしてごめん。』
『いいんだよ、相原くんの気持ちわかるから。』
────⋯
あれじゃ完全に八つ当たりだ。でも俺はそのくらいいっぱいいっぱいだった。
そんな昨日のことを思い出しながら歩いていると、向こうから今一番会いたくないヤツが歩いてくるのが見えた。
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