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アイツのいない世界 4

「あれ?渚?どうした、授業中だろ?」 「だから渚って呼ばないでください。」 「なんだよ、別にいいじゃん。………て、おい、おまえ顔色悪いけど具合悪いのか?」 なんだってこのタイミングで望月に会うんだよ。 こいつ空気読めないくせになぜか鋭いから会いたくなかったのに。 「寝不足なだけです。失礼しま……っちょっ!」 さっさと保健室に行きたくて歩きだそうとしたら、いきなり腕を掴まれた。 「そんなフラフラでどこ行くんだ?」 「フラフラだから保健室に行くんですよ。手、放してください!」 望月は俺の腕をがっちり掴んだまま放そうとしないし、デカい声出したら余計フラフラしてきたし、最悪だ。 「なに泣きそうな顔してんだよ。何かあったのか?」 ほらきた、こいつなんか知らねーけど人の感情見破るんだよ。 チャラいくせにそういとこは見てるっつーか。 だからイヤだったのに…… 「何でもないですからほっといてください!!」 「もしかして…………アイツのことか?」 「……………え」 …………アイツ?

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