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アイツのいない世界 17

「渚っ?!」 びっくりしてる望月を余所に、俺は室内へとずかずかと足を踏み入れ静かに口を開く。 「…………橘のこと教えてもらいにきました。」 すると背中越しにため息が聞こえガラガラとドアが閉められた。 「体調はもういいのかよ。まだ顔色悪いぞ?」 「………大丈夫です。それより、俺が意識失う直前、俺を先生の手から助けてくれたのは誰ですか?」 「おい、いきなりそれかよ。でも、助けるって……俺なにもしてねーじゃん。人聞き悪いなぁ。」 「茶化さないでください!!あれはアイツだったんですか?!………それとも、、、」 「………そんなに気になる?」 望月は俺を見下ろしニヤリとして、白衣の内ポケットからタバコを取出すと1本引き抜いてそれを口に咥えた。 「気になります!………だから、教えてください!」 「どうしようかな………渚の困った顔も結構、俺好きだし。だから、つい虐めたくなっちゃうんだよなぁ。」 こいつドSか? だけど手掛かりは望月しかいない。 だから、俺は必死に訴えた。 「そんな、俺のことはどうでもいいですから!お願いします、教えてください!!」 すると、しょうがねーなと吐き捨て、俺を奥の準備室へと招き入れた。

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