203 / 498
アイツのいない世界 17
「渚っ?!」
びっくりしてる望月を余所に、俺は室内へとずかずかと足を踏み入れ静かに口を開く。
「…………橘のこと教えてもらいにきました。」
すると背中越しにため息が聞こえガラガラとドアが閉められた。
「体調はもういいのかよ。まだ顔色悪いぞ?」
「………大丈夫です。それより、俺が意識失う直前、俺を先生の手から助けてくれたのは誰ですか?」
「おい、いきなりそれかよ。でも、助けるって……俺なにもしてねーじゃん。人聞き悪いなぁ。」
「茶化さないでください!!あれはアイツだったんですか?!………それとも、、、」
「………そんなに気になる?」
望月は俺を見下ろしニヤリとして、白衣の内ポケットからタバコを取出すと1本引き抜いてそれを口に咥えた。
「気になります!………だから、教えてください!」
「どうしようかな………渚の困った顔も結構、俺好きだし。だから、つい虐めたくなっちゃうんだよなぁ。」
こいつドSか?
だけど手掛かりは望月しかいない。
だから、俺は必死に訴えた。
「そんな、俺のことはどうでもいいですから!お願いします、教えてください!!」
すると、しょうがねーなと吐き捨て、俺を奥の準備室へと招き入れた。
ともだちにシェアしよう!