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アイツのいない世界 22
………なんで
………どうして
こんな状態で、どうやって待てって言うんだ……
「おい、渚…大丈夫か?」
「だ、大丈夫………です…」
望月に泣き顔なんか見せたくないから、必死に鼻水をすすり誤魔化した。
「どう見ても大丈夫じゃないだろ。」
そう目の前の望月が吐き捨てると、
「ちょっ!!」
ガシッと両手で俺の顔を掴まむとグッと上に向けさせられた。
「泣き顔もクるな……もっと泣かせてやろうか?……違う意味で。」
からかってるような、そうじゃいような顔つきで至近距離で言われ、俺の頭ん中は危険信号がチカチカ。
「ちょっ!止めてください!!」
「慰めてやろうと思っただけじゃん。俺のことキライ?」
生徒誘惑するって……マジチャラ男じゃん!
なんで、しかも俺なんだよ!!
「先生っ、止めてください!!」
「顔真っ赤にして……可愛いな……」
すると望月の顔がさらに近づいて、唇と唇が触れそうな距離まで近づいてきた。
マジでキスされる!!
……と、ギュッと目を瞑った時、バタンッ!とドアが開いて、そいつはすごい勢いでズカズカと中に入ってきた。
もしかして………
淡い期待を込め、必死にそいつに視線を向けた。
「何やってるんですか!!」
「おまっ……なんで戻って……」
焦った声の望月が視線を流した先にいたのは………
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