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アイツのいない世界 28
「話って……なに?」
するとほっしーは、口にしていたパンを膝の上に置き俯いたまま話を始めた。
「……あのね、ゆうちゃんのことなんだけど。」
橘の名前が出た途端、俺は頬張っていたクリームパンを落としそうになって、慌てて強く掴んだ。
橘のこと………
「実は………今日、ゆうちゃんが僕のとこ来たんだ。」
橘が今日、学校に居たことは知ってる。
だから、俺は特に驚くこともなく話の続きを静かに待った。
「うん、望月から聞いて知ってる。なんか、海外に行ってて一時帰国してきたけどまた海外行くとかって。」
「うん、そうらしいよね。でね、ゆうちゃん……しばらく帰ってこれないみたいなんだ………」
そうなんじゃないかって予想はしてた。
でも、事実として告げられると結構ショックだった。
「どのくらい……なの?」
少しだけ間が空いて、それが期間の長さを物語ってるように思える。
「……………早くて、半年……長くて一年…くらいだって……」
まさかとは思ってたことが的中してしまった………
「そんなに………なんで?!」
「僕も何でか必死に聞いたんだけど、理由は何回聞いても教えてくれなくて。」
やっぱり、ほっしーにも言わないのか。
「俺、アイツが何考えてるかわかんねー。なんで今なんだよ。あんなに……」
あんなに、何があっても隣にいて欲しいって言ってたくせに。
「なんなんだよっ!!」
「相原くん?!」
「あ、ごめん!つい……」
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