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アイツのいない世界 33
昼間、俺を助けてくれた時や保健室で遠くに聞こえていたのよりも鮮明に聞こえてきたアイツの声。
それはダイレクトに胸に響いた。
だからなのか、胸が苦しくて……
『渚?…………泣いてる?』
「……っ…な、泣いてねーよ!!」
必死に声を張り上げ否定したけど、ある意味バレバレだった。
『……………泣かせて、ごめん……』
「だからっ!!……っもう!何なんだよっ!!謝るくらいなら居なくなるなっ!!」
堰を切ったように声を荒げたけど、自分でもわけがわからなくなってて、とりあえず涙を誤魔化し怒鳴り付けた。
『…………ごめん……でも、オレの話も聞いてくれる?』
携帯から聞こえてくる橘の声は一定で、余計にそれがただ事じゃないように思えた。
「……………な、なんだよっ。」
『………ダイから聞いたと思うけど、……しばらく帰れない。』
「聞いたよ。昼間、望月からも聞いた。」
『そっか………』
「昼間、俺を助けてくれて保健室まで運んでくれたのおまえだろ?なんで、さっさと行っちまったんだよ!」
『………渚には会わないで行くつもりだったんだ。でも、望月が渚にちょっかい出してるのを偶然見付けて我慢出来なくて……』
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