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アイツのいない世界 34

会う気はなかったってなんだよ…… 「会う気がねーなら初めから助けなきゃよかっただろ!知らないフリして帰ればよかったんだ……どうせ俺なんてどーでもいいんだから!!」 『どーでもよくないから助けたんだろ!渚、落ち着けよっ!』 落ち着いて考えれば分かることが、今の俺にはわからなくてなってて、八つ当たりしてるようなもんだ。 だけど、一度こうなっちまうと止まらなくなってしまうのが俺の悪いとこで…… 「じゃあ、なんで俺を1人にするんだよ!!中途半端な優しさは余計に寂しくなるだけじゃねーか!!ふざけんなっ!!」 『…………渚……渚の気持ちはよくわかる。でも、見て見ぬフリなんて出来なかった………』 「………なんでなんだよっ……」 もう…泣いているのを誤魔化すことすら出来ないくらい余裕がなくて、いったい何をしたいのかすらわからない。 だけど橘はいつになく冷静で、俺を宥めるように優しく話を続けた。 『そんなの決まってるだろ……渚に会ったら決意が揺らぐことがわかってるから…だから、会いたくなかったんだ。でも、やっぱりダメだった』

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