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アイツのいない世界 35

「そんなの……勝手過ぎるだろ……」 『………分かってる。だから、こうして最後に話をしに……』 「……っ…違うだろ!!それが勝手なんだよ!!」 勝手に会わないとか決めたくせに、結局は俺を助けた。 そして中途半端な優しさで、こうしてまた俺を混乱させる。 「……おまえは、いつだって一人で決めちまうんだよ。それが勝手だって……。相談くらい出来るだろ…俺は……その程度の存在なのかよ……」 今まで、一度も相談なんてなかった。 今回の件に限らず、黒瀬先輩の時だってそうだ。 なんで何も言ってくれないんだよ。 俺は役に立たないかもしれないけど、でも何でもかんでも一人で背負い過ぎなんだよ…… 『……………ごめん。渚は、オレにとって一番大切な存在だよ。』 「だ、だったらっ!!」 『大切だから言えないこともあるんだ!渚、分かってくれ……』 「わかんねーよ!!」 『…………オレは、半年で帰るつもりでいる。だから、ダイにもああ言った。全て片付けて、帰ったらその全てをちゃんと話す。それまで待っててくれるだろ?』 待ってるに決まってる…… だけど、たまりにたまった苛立ちが爆発して、俺の爆走は止まらず、素直になることが出来ない。 一言、“待ってる”と言えばすむことなのに、 「………半年なんて、そんな……わかんねーよ!!」 気付いたら、そう口走ってた。

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