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真夜中の密事 28
快感に震え、ドクドクと吐き出された白濁を肌の間で感じながら、
俺は、
久しぶりに呼んでしまった………
あまりにも今が満たされていたから。
それは…たぶん、無意識だったと思う。
そして、今を噛みしめるように、もう一度……
「……………優…人────」
今度はちゃんと聞こえるように……こいつの耳に唇を寄せてその愛しい名前を呼んだ。
すると、俺の声に反応するかのように短く息を吐いた橘は、
「………ッ……んッ……はッ……な、ぎ……さ…ッ…」
苦しそうに俺の名を呼びながら、中に埋まるそれをビクつかせ身体を震わせ奥へ奥へと熱い熱いそれを吐き出した。
「……んんッ……ゆう……との……あつ……い……ッ……きもち…い、い……」
うわ言のように快感を口にし、身体中に広がる熱に幸せを感じながら真っ白な頭の中で思う……
身も心も満たされてるとはこういうことを言うのだろうか………
……と。
そして、刻一刻と迫る別れの時に目を伏せ、この幸せが消えないようにと俺は更に強く橘に抱きついた。
「………おまえ、さっ……」
「…………な、に…?」
「オレを殺す気か…?」
「……は?!なんで?!」
「……心臓止まるかと思ったぞ……不意討ちは止めろ…」
何言ってんだよって思ったけど、すぐになんのことか分かった。
「……もしかして………」
もしかして…いや、もしかしなくても、
俺が“優人”って呼んだ声で、イった………のかな?
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