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真夜中の密事 34

* …………渚? ………渚? 「……………おい!!」 「…………あれ?……たち、ばな…って!?今何時?!俺、気失ってた?!」 気がついたら俺を覗き込んでる橘の顔が目の前にあって、いつの間にか俺はベンチに寝かされていた、しかも膝枕で。 「……ちょっとだけだから大丈夫だ。今……夜中の2時回ったところ。」 「……に、2時?!……おまえ、時間大丈夫なのかよ?!」 二人で絶頂に達した後、あまりの気持ち良さに俺は一時的に意識を失ってしまったらしい。 気を失ってる間に白濁まみれだった俺を清め、身支度まで整えてくれたらしく、気付いた時はズボンまでしっかり履いていた。 「あと、もう少しだけ時間は大丈夫だ。」 「飛行機…早朝の便なのに、おまえ寝る時間ねーじゃん。」 「いいんだよ。1日くらい寝なくたって死にやしねーし。それに……」 「………なに?」 「無理………させちまったし……」 こいつがこんなこと言うの珍しい。 熱でもあるんじゃねーかって思って、はっとした。 こいつの曇った表情で、俺は別れが近いことを思い出す。 考え過ぎかもしれねーけど、こいつも離れたくないと思っていてくれてるからあんな顔して……… …………だから、 そんな橘を見ていられなくて、俺も顔を背けてしまう。 こうしている間にも時間は無情にも過ぎ、どうすることも出来ないもどかしさに、ただ、胸の奥がきゅーんとなって苦しくなるばかりで、何を話し掛ければいいかわからなくなる。

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